FC2ブログ

映画「眼の壁」を観(み)て・・・

この年代のつくりにしては“今ふう”を感じさせる速いテンポ。が、一方、それゆえに出来事を短縮させて先へ先へと進む展開が少々、分かりにくさも生んでいました・・・。

「カワマタ・キネマサロン」(このシリーズは「文化・芸能」の項に収めてあります)の3月定例会は25日の日曜日に開かれ、1958年(昭33)秋に公開された「眼の壁」(松竹=大庭秀雄監督)が上映されました。

「眼の壁」は、雑誌の連載小説として1957年に発表され、単行本ではベストセラーとなった、故・松本清張氏(1992年8月4日没)の長編推理・社会派サスペンスものです。

当時1957年といえば、私自身はまだ、13歳の中学生でしたが、同時期の「点と線」「ゼロの焦点」などが推理小説ファンの間で話題となっており、これらは、しばらくして刊行された普及版としての文庫本となったとき、むさぼるように乱読した覚えがあります。

映画は公開時に観(み)ていませんが今回、映画化されたものを一度は観ておきたかったと思っていただけにいい機会、こういうものを上映して頂き、まさに「カワマタ・・・」サマサマ、となりました。

ちなみに時代背景的には、この「眼の壁」が公開された1958年は、日本映画の全盛時代“終焉期”と言われており、以後はテレビの普及により、映画ファンがことごとく、お茶の間に入ってしまう、日本映画界にとっては“冬の時代”を迎えることになってしまうときでした。

手形詐欺事件を発端に犯罪集団を追い詰める

さて・・・です。「眼の壁」はまず、某電機メーカーの会計課長・関野徳一郎が自殺するところから始まります。社員の給料支払いのために金融工作をしていたところ、大事な手形をパクられてしまい、その責任を取る形での自殺、という設定です。

織田政雄演じる関野課長は、本当にどこにでもいそうな、中間管理職の悲哀を漂わせた人物ですが、織田政雄はこのころからこうした役を与えられていたのかと思うと、なぜか妙に? 納得してしまいます。

それにしても「さわらぬ神にたたりなし」を決め込む会社上層部の“逃げ腰”は昔も今も同じ。義憤にかられて立ち上がるのが、関野の部下であり会計課次長の萩原竜雄(佐田啓二)。友人の新聞記者・田村満吉(高野真二)とともに真相解明のために東奔西走の日々を送ることになります。

萩原“佐田”竜雄が、関野が手形詐欺にあった銀行本店から話を聞いたり、関野が接触していた高利貸の「山杉商事」を見張ったりしているうちに、同商事の美人秘書・上崎絵津子(鳳八千代)の動きに謎めいたものがあることに着目。上崎“鳳”絵津子を追ううちに殺人事件が起きたり、萩原自身が突然、袋叩きにあったり、次第にことの輪郭が見え隠れしてきます。

気弱な一会社の会計課長を手玉に取った手形詐欺は、しかし、その裏に組織的な犯罪集団があり、大掛かりな事件へも発展・・・さらにさまざまな人と人とのつながりも明らかになり、最後は追い詰められた黒幕が、硫酸を溜めおいた巨大な桶の中に飛び込んで溶けてしまいます。

まあ、ストーリーがストーリーだけに全編硬派なつくりに終始。二枚目の佐田啓二が、追いかける鳳八千代と気持ちを通じさせる、いかにも松竹的な流れがあっても、佐田の顔には最後の最後まで笑顔がない、といった硬い作品でした。

萩原“佐田”竜雄にしても、上司の不審死の調査とはいえ、一介のサラリーマンがこれほどまでに会社を休んで東奔西走していいものか? などという会社事情も、余計なお世話ながら考えてしまいます。

・・・で、事件が解決後、発端となった会計課長の死に対する会社上層部幹部の対応も、ちょっぴりあってもいいのでは? と思ったものでしたが、どうでしょうね。
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

最新記事
カテゴリ
最新トラックバック
月別アーカイブ
最新コメント
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

アクセスランキング
ランクアップにご協力下さい
↓↓↓↓クリック↓↓↓↓
QRコード
QR