“ゆっくリズム”の効用

プロゴルファーの青木功、樋口久子(現JLPGA相談役)、そして宮里藍・・・。この3人の名手たちに共通しているものは何でしょうか?。

そうです。“変則”という言い方は当たっていないと思いますが、それぞれ3者3様の独特のスイングの持ち主である、ということですね。

青木の代名詞でもある、ドライバーからパットまで、徹底して変わらないハンドダウンの構えは、1980年6月の「全米オープン」でのジャック・ニクラウス(米国)との死闘(青木は2位)、1983年2月の「ハワイアン・オープン」での優勝などで“世界のアオキ”の個性として光り輝きました。

1977年に「全米女子プロゴルフ選手権」を制した樋口は、独特の“スエー打法”が米国人ファンを驚かせました。上体を左右に振るこのスイングは、女性の非力をカバーするために生まれたものでした。樋口に言わせれば、腰の位置が移動しているわけではなく、従って“スエー”はしていない、とのことでしたが、こちらもやはり、かなりの個性派ではありました。

さて、宮里は? ・・・こちらはもう、誰でもご承知のことと思いますが、ゆったりとしたスローテンポのスイングが特徴ですね。

4月21日=日本時間同22日=最終日のUSLPGAツアー「ロッテ選手権」(米ハワイ州カポレイ=コオリナGC)で宮里は今季、6試合目の出場で初優勝(米ツアー通算8勝目)を飾りました。

ハワイ特有の強い風が吹く難しいコンディションの中、宮里にM・リー(2位)、A・ムニョス(同)が加わり、優勝争いが展開されました。取材に当たったスポニチ本紙の現地通信員は、優勝した宮里のコメントを「簡単ではなかった。とても長い一日に感じられた」と報じていましたが、風の中でも崩れない宮里流のスインクが、終わってみれば4打差の完勝を呼び込んだ、という、強さを感じる優勝でした。

両腕がつくる三角形を長く保つために

宮里3兄妹の兄2人は3歳からゴルフを始め、それを見ながら藍は「アイも、アイもやる」と4歳からゴルフを始めました。指導はもちろん、父親の優さん。その優さんの流儀が〈クラブはゆっくり振る〉ということでした。

以前、スポニチ本紙で長期連載した「宮里流ゴルフ」のレッスンで、優さんはこう言っています。

〈例えば金槌(づち)で小さな釘の頭を叩くとき、ゆっくり振り上げ、狙いを定めて振り下ろしたほうが、命中率が高くなるでしょう〉

つまり、ゆっくり振るのは、クラブを正しい軌道に乗せやすい、というのが第一の理由。次にアドレスで構えたところにクラブを正しく戻し、ボールを芯でとらえることが第二の理由。そのためにもゆっくりのほうがいい、と優さんは話していました。

普通、バックスイングのトップでは、左肩を右肩の位置くらいまで回し、背中の向きを目標に正対させろ、と言われます。まあ、アマチュアは、上体をこれだけ捻転させるのは、大変な騒ぎでしょうし、回しているつもりでも、そうそう簡単に回っているものではないことは皆さん、ご承知のことと思います。

そう考えれば、打ち急ぎには、何のメリットもなく、上体を回す方法としても、この“ゆっくリズム”は、間違いなく効果的かもしれません。

ゴルフダイジェスト社刊の「静筋ゴルフ革命」の中で優さんは、スイングのいいテンポとは? の質問にこう答えています。

〈よく、チャー、シュー、メーン、という表現を使いますが、あれは言い得て妙ですね。チャー、シュー、の2拍を使ってトップまで持っていき、メーンで一気にクラブを振り下ろす、というアレです。(中略)テークバックでたっぷりツー・テンポかければ、肩がキッチリ入るし、上下の捩(ねじ)れの差も大きくなります。背中をターゲットに向ける、理想のトップにも近づきやすくなるわけです(後略)〉

米国で奮闘する宮里藍は今季、早い時期に1勝を挙げたことで、メジャー勝利を含めて、今後に大きな期待がかかります。が、もし、ショットごとに人知れず、常に「チャーシューメン」を口ずさんでいるとしたら、これは面白いことです。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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