辛く悲しい好敵手のまさかの急逝

まだ26歳の若さ。これからの世界を確実に背負うノルウェー期待の星。それが・・・こんなことってあるのか! と、愕然とさせられた出来事でした。

4月30日(日本時間5月1日)に合宿先の米アリゾナ州フラッグスタッフで急死したアレクサンドル・ダーレオーエン選手です。

ノルウェー水連によると、死因は心停止とのことで同日、ホテルの浴室で倒れているところを発見され、搬送先の病院で死亡が確認された、とAP通信が伝えました。

ダーレオーエン選手は、2011年競泳世界選手権の男子平泳ぎ100メートルで優勝。今夏のロンドン五輪では、日本のエース・北島康介(29=日本コカ・コーラ)の最大のライバルになるだろう、と見られていた注目のスイマーでした。

ダーレオーエン選手の急死に際し、北島からは練習拠点の米国からマネジメント会社を通して、こんなコメントが寄せられました。

〈良き友、良きライバルであった彼の、突然の死に驚いています。『この1年、彼を目標にしてきました』。オリンピックで戦えることを楽しみにしていたし、彼もオリンピックを楽しみにしていたと思います。まだ信じられません〉

そして、ツイッターでは「涙がとまらないよ」と、心に受けた衝撃の大きさを吐露していました。

竜虎並び立たずの切磋琢磨

04年アテネ、08年北京の両五輪で、2大会連続して100&200メートルを制した無敵の北島に迫ったのが、北京五輪の100メートルで北島に果敢に競りかけた(銀メダル獲得)ダーレオーエン選手でした。

母国ノルウェーに五輪で初のメダルをもたらしたホープは、その後、着実に力をつけ、昨年の世界選手権で北島に追いつき、ついに追い越します。優勝したダーレオーエン選手に対し、4位に終わった北島が「強い。完璧だった。今のオレではとてもかなわない」と語った、脱帽のコメントは印象的でした。

『この1年、彼を目標にしてきました』という北島の、哀悼の意を表すコメントには、しのぎを削り合う好敵手がいてこそ、心身にムチ打ってここまで精進できた、という熱い気持ちが感じられます。

昔から今日まで、スポーツ各界のライバル物語は、挙げればキリがないほど多くありますが、竜虎の2人、両雄は並び立たないのが常です。「雄」と「一方の雄」は、どちらかが勝てばどちらかが負け、それを繰り返しながら、お互いに切磋琢磨し合い、ドラマチックなライバル伝説を後世に残していきます。

12年ロンドン五輪は、北島にとっては11年世界選手権での惨敗をリベンジする場でした。代表の座を決めた日本選手権(五輪代表選考会)での100メートル(日本新記録)&200メートルとも優勝は、視線の先にもちろん、ダーレオーエン選手を見据えての力泳だったことでしょう。

一方のダーレオーエン選手は、北島に迫った北京五輪後、4年後を見据えて、北島を育てた平井伯昌・日本代表ヘッドコーチ(48)の教えを受けるために来日もしています。

このあたりの行動、上限のない向上心が、北島の持つ熱血と共鳴するところでもあり、ロンドン五輪での激突は、ともに持てる力以上のものが発揮されそうなレースになるかも・・・と、本当に楽しみでした。

一方の雄の思いもかけない急逝は、悲しく、寂しいものですが、北島にはライバルの分も・・・と気力を振り絞ってもらいたいものです。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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