中学校の武道必修化に思うこと

先日、2児の母親となっている私の娘と久々に会って話しているとき、中学校の武道必修化の話題となりました。

上の女の子と下の男の子の2人(私の孫ですが・・・)は、まだ小学生で、中学までには間があるのですが、大丈夫なのかしらねェ、という彼女の心配は、多くの親たち、特に母親たちが思っているだろう不安、つまり、死亡事故などが比較的多くなっていることによる“危険性”でした。

文部科学省による中学校学習指導要綱の改訂に伴い、この4月から、これまで保健体育の授業で選択制だった武道(ダンスもあるようです!)が、1~2年生で必修化されることになり、約1カ月が経過しました。

資料によると中学校の武道必修化は、安倍晋三・元首相が推し進めた教育改革を受けての措置であり、教育の目標に「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」が新たに規定され、武道が「伝統と文化を尊重する」という目標を実現する役割を担うかたちで、08年3月改訂の中学校学習指導要領に必修化が明記された、とありました。

従って、政策としての武道必修化を疑問視、批判する識者の声が多くあるのは当然のことですが、一方、それはそれとして、焦点を純粋に親の気持ち、中学生に武道の心得は必要か、というところに合わせた場合、私は「必要ではないか」と賛成の方に手を挙げたいと思います。

武道が持つ「自立(律)性」を身につけたい

その理由の一つとして、武道には欠かせない「自立(律)性」を、心が揺れるこの時期に学ぶことは大事なことではないか、と思うからです。

例えば、私が住む地域にある小学校の校庭では、休日になると野球、あるいはサッカーの小・中学生のクラブ・チームが元気な声を上げて練習をしています。が、これらレギュラーに人数制限がある人気スポーツは、野球なら10人目以降、サッカーなら12人目以降の選手が、常に親の欲目とともに複雑な思いを強いられているそうなのです。

チームで戦う競技の難しいところで、高校生になるとレギュラーも控えも“一丸で!”ということが分かってくるのですが、中学生までのこの年代は、その線引きに指導者が一番頭を悩ますところなのだ、という、切実な話も聞きました。

個人プレーで自分がしたことのすべてを、自分の責任で行わなければならない武道は、それが柔道であれ剣道であれ、あるいは空手道、合気道であれ、他人に頼らない自立(律)の心を生んでいきます。身近なところで親からの自立、自分に自信が持てるようになれば、他人への思いやりなども深まるのでは・・・と思います。

昨今の独りよがりで冷酷な、若年層によるひどい事件が起きるたびに思う“何かの欠落”を考えるとき、思春期の教育は最も大切なのではないでしょうか。

私の娘が心配した“危険性”はケガの類、そして、その延長線上にある事故死です。

確かに柔道で言うなら、投げられて頭を強打するなど、その種のアクシデントが繰り返されてもいるようですが、しかし、学校教育、しかも中学1~2年生を対象にどこまでのことをやるのか、を考えれば、無知で無謀な指導者でない限り、受け身を軸とする、約束された基本的な攻防を覚える、身につけることが第一であり、勝敗を競わせるようなことは必要ないのではないかと思います。そしてその範囲では、死にいたる重大な事故は回避されることと思います。

そうした不安を考えるより、もっと大事なことは、中学生が一律に武道の経験を持つことにより、このジャンルに底辺の拡大が出てくるかもしれない期待です。柔道なども今や、主導権は欧州に移行しつつあり、やはり“日本の武道”として弱体化は腹立たしく、復権は誰もが願っていることではないでしょうか。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

最新記事
カテゴリ
最新トラックバック
月別アーカイブ
最新コメント
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

アクセスランキング
ランクアップにご協力下さい
↓↓↓↓クリック↓↓↓↓
QRコード
QR