無敵の天才を必死にさせたものは?

最後まで緊張感が途切れることのない好試合でした。

「相手」がこういう出方をするなら、やはり「この人」はこういう受け方をするのだなァ、という攻防の意図が見る側にも伝わり、それが面白くさせていたのではないかと思います。

「相手」とはミゲール・コット(31=プエルトリコ)であり「この人」とはフロイド・メイウェザー(35=米国)のこと。5月5日(日本時間同6日)にラスベガス(米ネバダ州)のMGMグランドで行われたプロボクシングWBA世界スーパーウエルター級タイトルマッチの激闘です。
(試合の模様は5月6日午前11時からWOWOWで生中継されました)

結果はメイウェザーの判定(3-0)勝ちとなりましたが、その内容がこれまでとは違いました。

この試合の勝利で43戦全勝(26KO)となったメイウェザーの戦い方は、これまで“天才”あるいは“無敵”ゆえの手抜き、つまり、相手を見切れば、途中から足を使ってイナすなどのズルさや狡猾(こうかつ)さ、倒そうと思えば倒せても、あえて危険を冒さない安全策、などが見られ、前回(昨年9月17日)のWBC世界ウエルター級王者ビクター・オルティス(米国)との試合(4回KO勝ち)などは、オルティスがバッティング(減点1)を犯した後、再開の前に謝罪の意味でグローブを合わせようとしたとき、メイウェザーが一撃を入れて倒してしまったという、会場がブーイングに包まれたアンフェアな勝利でひんしゅくを買ったものでした。

メイウェザーが「これまでとは違った」戦い方を強いられたのは、コットが初回から積極的に前に出てくる戦法を取ったからでした。試合を振り返ってみましょう。

コットの前進に拍手を送りたい

もともとスロースターターと言われるコットですが、この試合は初回から、ガードを固めて前進、グイグイと攻め立ててきました。2回には早くも、コーナーに追い込んで距離を詰め、パンチを繰り出すシーンが見られます。

対するメイウェザーは、コットのプレッシャーに後退しながらもカウンターを狙い、あるいはガードの上に、その隙間に、巧みに右フックを叩き込み、続く左からのアッパーなど、持ち前のスピードと多彩な技で応戦していました。

そうした攻防が序盤から中盤へと繰り返されます。ポイントの行方は、しつこく攻めてロープに追い込むコットの攻勢点もありましたが、追い込まれながらも相手のパンチを巧みな防御術(L字ガードの構えから左肩でのブロックはたいしたものでした)で防ぎながら有効打を叩き込むメイウェザーの方にやはり多く、傾いていたようです。

そんな中でも8、9回、コットが激しく挑むもみ合いでメイウェザーが体力を消耗させ、動きを鈍らせる場面もありました。メイウェザーを最後まで必死の状態にさせたのは、コットの休むことのない積極的な攻撃にあり、その意味では、負けたとはいえ、むしろコットの健闘の方に拍手を送りたい気持ちです。

ただ、惜しむらくは、ロープに追い込むまではコットの作戦通りだったでしょうが、距離を詰めた後、そこからの攻めをことごとく、メイウェザーに阻まれていたことが敗戦につながっていた、と思いました。

リング上でのインタビューで、メイウェザーはコットの強さを称えた後「しばらく姿を消すことになるが・・・それも人生」と発言していました。しばらくの活動休止は、元恋人への暴行などで逮捕され、裁判で下された「禁固90日プラス社会奉仕活動への従事」などの実刑を6月に履行するためです。

その前にこの一戦、メイウェザーのファイトマネーは最低保証の3200万ドル(約25億3000万円)にペイ・パー・ビュー(有料テレビ放送)の分配金(後日決定)が加わり、これまで史上最高だったデラホーヤの4500万ドル(約35億5000万円)を超えることが予想されています。

果たして今後、パッキャオ戦が実現するのかどうか分かりませんが、メイウェザーにとって、これは、いい休暇? となるのかもしれません。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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