勇気ある「チケット代返金」企画に思うこと

プロボクシングの試合会場で、お目当ての選手が不甲斐なく負けたとき、あるいは勝っても凡戦だったりしたとき、観客から「金返せ!」の声が飛び交うことはよくあることです。

安くはない入場料を払って会場に足を運ぶファンは、お目当ての選手に“こういう勝ち方をしてほしい”などの期待があり、そしてまた、その期待に金を払っているわけでもあり、そうならないときはやはり、八つ当たり気味であっても「金返せ!」の厳しい野次は、プロの試合である以上、仕方のないことでしょう。

「金返せ!」の野次を飛ばすファンの側にしても、それだけお目当ての選手への“愛情”があるわけで、まあ、本気で激怒している方々は別にして、概して「次はそんな野次を受けないよう、スカッといい試合を頼むぜ!」という“激励の喝(カツ)”であることが一般的です。

見る目の肥えたファンを相手にするプロの試合は、常にそれくらいの緊張感と厳しさに囲まれていていいのでは? と思います。その意味でプロ野球セ・リーグの「DeNA」が実施したGW限定の思い切った企画「全額返金!? アツいぜ! チケット」は、選手たちへの発奮材料にもなるのでは? と成り行きを見守っていました。

この「全額返金!?・・・」企画は、GW中の5月1日~6日までのホーム・横浜スタジアムでの6連戦で1試合50席(内野指定席=1人4000円)を対象に行われ、敗戦の場合は全額を上限に、勝利&引き分けの場合でも半額を上限に、観客が試合の満足度を自分で査定して返金を請求できるという仕組みでした。

最近よく、通信販売の広告などで「満足いただけなければ全額返金!」の文字を見かけますが、ホントかよ? と思う半面、提供者側の、そう言い切るだけの自信もまた、その文字から受け取れ、つい、となってしまうことも確かです。

ファンはそれをどう受け止めたか?

最下位が定位置となってしまったDeNAにとっては、思い切った、というか、相当に勇気ある決断だったのでは? と思いますが、その分、ファンへのアピール度も高かったようで、6日間計300席は早々に完売したとのことでした。

が、問題は、その勇気ある決断を受け止める観客側の姿勢にあったようです。

DeNAは5月7日にその集計を発表しました。それによると期間中、全5試合(5月2日の対ヤクルト戦は雨天中止)を3勝1敗1分の勝ち越しで乗り切ったにもかかわらず、返金額は5試合、延べ213人に対して47万円となり、返金率は78%にも上ったことが明らかになりました。

中でも疑問視されたのは5月5日の対中日戦です。12-1の大勝にもかかわらず、28人が返金(計4万6000円)を求めたことでした。

新聞報道によると、返金請求の理由として「トイレが混んでいた」などというのがあったそうですが、これでは一生懸命に戦う選手たちが浮かばれません。

プロスポーツ選手と話をしていて時折、話題となるのが、選手と観客の関係です。大勢の観客が入場することによって選手は生かされ、試合会場の埋まり具合は、選手のモチベーションを左右することになります。とはいえ、お互いの位置関係は五分五分であり、選手たちはよりよい試合をすることによって、観客に来て良かったという満足感を提供したいと考えます。

つまり、よりよいものをつくり上げるためには、選手の頑張りだけではなく、観客のフェアな後押しも欠かせず、今回の企画でいうなら、いくら返金請求が正当なものとはいえ、そういうスポーツ観戦の場に試合無視の“あわよくばタダで・・・”というアンフェアが入り込んできては、選手がかわいそうだなァ、と言わざるを得ません。

5月1日の対ヤクルト戦、0-7の完敗に返金を求める人数は全員の50人、返金額は19万3000円だったとのことです。それは当然と考えるか。観客は、DeNAファンであるなら、全額を返済してもらってもいいが、まあ、ここは貸しておこう。次、頼むぜ! くらいの心意気、温かい包容力があってもいいかな、と思います。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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