“頼りなさ”から“頼もしさ”へ

思わず、エエッ! とびっくりしてしまいました。お笑いコンビ「南海キャンディーズ」のしずちゃん、というよりはもう、少なくともリング上ではそのイメージはない「ボクサー・山崎静代」の戦いぶりです。

中国・秦皇島で目下、熱戦を展開させている、ロンドン五輪出場枠を懸けたアマチュア・ボクシング女子の「世界選手権」ですが、第4日の5月14日、ミドル級戦に出場の山崎静代(33=よしもとクリエイティブエージェンシー)が、初戦となる2回戦に登場、キックボクシングから転向したウズベキスタンのシャフノザ・ニザモア(24)と対戦しました。

5月15日付のスポーツ新聞各紙で、山崎の“世界1勝”となった勝利は報じられており、どんな内容だったのか見たいなァ、と思っていたところ、同日朝のフジテレビのニュース番組「とくダネ!」(午前8時~)が、試合を含む山崎の動向を伝えてくれました。

事前のインタビューに山崎はこう答えます。

〈ここまで来たら思い切りやるだけ。自分に“大丈夫”と言い聞かせています。弱い部分などを全部ひっくるめて見てほしいと思います〉

漫画「あしたのジョー」に魅せられて07年から趣味でボクシングを始めたといいます。翌08年に偶然、女子ボクシングのドラマにボクサー役として出演したこともあって、この世界にハマり、12年ロンドン五輪で女子ボクシングが新種目として採用されることが決まると、芸人が遊び半分でやるのか、などの批判を浴びながらも、これはもう、タイミングとして運命的! と思ったそうで、果敢にチャレンジを表明しました。

涙の数だけ強くなる・・・か?

お笑いコンビ「南海キャンディーズ」の“ボケ役”しずちゃんだからこそ、その後が注目され、しかし、合宿だとか練習風景だとか、テレビの画面に映し出されるのはいつも、涙にまみれた泣く姿ばかりだったように思います。

初の公式戦出場となった昨年9月の「第1回台北市カップ」で1回戦、台湾の選手に敗退。涙。今年2月の「全日本選手権」(広島市)では勝ち、世界選手権切符を手にした(このときはうれし涙?)ものの、直後のアジア選手権(モンゴル)ではまた、1回戦敗退(RSC)で涙・・・といった具合。イメージとしては“しずちゃんの頼りなさ”だけが漂っていました。

が、流した涙の回数は、それだけ心身を強くするものなのでしょうか。五輪出場へ正念場となる今回の「世界選手権」で“しずちゃん”は“ボクサー・山崎静代”となり、意地を見せました。

滑り出しの初回、元キックボクサーらしいニザモワの積極的な攻めに山崎は押され、たじたじとなったところでスタンデイング・ダウンを取られてしまいます。

この段階では、やはり無理、また涙の結末か、と思われましたが2回以降、山崎の反撃は凄いものがありました。前進、また前進! 連打、また連打! 伸びる右ストレートの炸(さく)裂でスタンディング・ダウンを奪い返します。この段階でポイントは16-18とまだ劣勢でしたが3回、気迫の前進&連打で2度のスタンディング・ダウンを奪い、最後はニザモワが後ろ向きに逃げるような態勢となるところまで追い込んでRSC勝ちしました。

ロンドン五輪の出場権を獲得するには、実力でアジア勢のトップになること、もう一つは他力本願の「推薦枠1」を待つこと、とかなり厳しい“狭き門”です。

山崎の次戦(3回戦)は、1回戦から勝ち上がっているアンドレア・シュトロメイヤー(ドイツ)戦となりました。これからの一戦一戦は、強敵相手の死闘の連続となるでしょうが、夢に向かって突っ走ってほしいと思います。

“しずちゃんの頼りなさ”から“山崎静代の頼もしさ”に・・・頑張れ! です。

〈5月16日午前追記〉

健闘空しく・・・といったところでしょう。残念ながら山崎は3回戦で敗れてしまいました。

5月15日夜に行われた3回戦の相手は、サウスポーのドイツ選手アンドレア・シュトローマイヤー(30)。前に出た山崎でしたが、左の一撃を受けて腰が引け、3度のスタンディング・ダウンを取られて1回1分56秒、RSC負けとなりました。

これで五輪出場枠の獲得はならず、現地で取材に当たっているスポニチ本紙の担当記者は「日本は男子が4人、出場枠を取っているので、推薦枠の期待も難しい情勢」と報じており、山崎のロンドン挑戦は事実上、終止符となってしまったようです。・・・残念。が、そのチャレンジ魂に拍手!
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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