コースに息づく“先駆者”の執念

朴セリが築いたレジェンドが脈打つ韓国勢の底力でした。

7月8日(日本時間同9日)に終了したUSLPGAツアーの今季メジャー第3戦「」全米女子オープン」(米ウィスコンシン州コーラー=ブラックウルフラン)最終日の激闘(テレビ朝日系が9日午前4時から放送)です。

第3日を終えて単独トップに立ったのがチェ・ナヨン(24=韓国)で、通算8アンダーは後続に6打差をつける快進撃となりました。USGA(全米ゴルフ協会)が主催するナショナル・オープンならではの難しいコース・セッティングの中、一人突出したスコアは最終日、誰もが独走を予想したことでしょう。

予想通り、チェ・ナヨンは、前半アウトを終えて5打差のリードを保ち、いよいよ“仕上げ”のバックナインに入ります。が、その途端に起きた、まさに“想定外”の出来事は、コースが優勝を狙うプレーヤーに与えた“意地悪”としか思えない過酷な試練でした。

まず10番(パー5)でショットの乱れからトリプルボギーを叩いてしまいます。5打のリードが一気に2打に・・・。11番(パー4)でバーディーを奪ったものの、続く12番(パー4)では第2打を引っ掛けてグリーン奥の深いブッシュの中へ。さらに13番(パー3)ではティーショットを右の池方向に打ってしまいます。

韓国勢ワンツー・フィニッシュの底力

これらのピンチに「朴セリの執念が息づいているなァ」と感じたのは12番、ブッシュの中から、これ以上はないリカバリーでパーをセーブし、あわや池ポチャ! と思われた13番では、池の淵を囲む石垣にボールが当たり、神がかり的な跳ね具合で、池ではなくグリーン奥に落下、これまたパーをセーブするという、スーパー・パーセーブの連続で命拾いしたからでした。大ピンチを切り抜けた後は安定を取り戻し、終わってみれば通算7アンダーでメジャー初優勝を成し遂げました。

朴セリがルーキー・イヤーだった1998年、全米女子プロ選手権と全米女子オープンの2大メジャー競技を制したことで、韓国にゴルフ・ブームが起き、今日の隆盛を築き上げる原動力となったことは周知の事実です。

その年の全米女子オープンの舞台が、この「ブラックウルフラン」でした。4日間を終えてアマチュア選手のジェニー・チュアシリポーンと並んだ朴セリは、翌月曜日に18ホールのプレーオフを行い、さらにサドンデスのプレーオフの末に栄光を勝ち取りました。

その死闘の中には、池の淵に落ちたボールを、両足を池に入れて打つ場面もあり、そうした苦闘を通して朴セリは、後に続く後輩に“あきらめない心”を植えつけたのかもしれません。

岡本綾子は1987年の全米女子オープンで、ローラ・デイビース、ジョアン・カーナーとともに18ホールの3人プレーオフに臨みました。優勝はデイビースで岡本は悲願を逸しましたが、今大会、中継するテレビのゲスト解説を務めた岡本は、女子ゴルフの世界ナンバー・ワンを決める全米女子オープンの魅力について「毎年、違ったコース、難しいセッティングの中で、自分に成長があったかどうかが試されること」と話していました。

今大会は、粘りと執念の韓国勢が、ワンツー・フィニッシュを飾り、強さを見せつけました。日本勢の“W宮里”藍は通算8オーバーで28位タイ、美香は通算3オーバーで7位タイ、となり、悲願は“お預け”となりましたが、この日の韓国勢のように2人そろってメジャーの舞台(今季は9月の全英女子オープンを残すだけとなりましたが・・・)で歓喜する日を待ちたいものです。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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