認知と敬意、その裏に・・・

エッ! ホント!

近づくロンドン五輪の開幕(開会式7月27日=日本時間同28日未明)、それに先駆けて行われるサッカー女子「なでしこジャパン」の初戦(7月25日=日本時間同26日午前1時キックオフ)に視線が集まる中、驚きの度合いは相当なものでした。

MLBマリナーズのイチロー外野手(38)のヤンキースへの電撃的なトレードです。

7月24日午前8時、目覚まし代わりの連続テレビ小説「梅ちゃん先生」(NHK総合)を、開かない目でボケーッと見て15分後、さあ、と腰を上げようとしたとき、その衝撃は、直後の番組「あさイチ」(同)で報じられました。

画面は急きょ、イチローが移籍会見に臨んでいる場面に切り替えられます。さまざまな思いを語り、時おり、涙ぐみ、親しまれたマリナーズの「背番号51」は、まさにアッという間にヤンキースへ・・・。

その驚き、そして、さらなる驚きは、会見終了後から約2時間半後にマリナーズの本拠地セーフコ・フィールドで開始されたヤンキースvsマリナーズ戦にイチローは、胸に「NEW YORK」、背中に「31」を背負って即、打席に立ったことでした。

MLBのビジネスライクは万事にそういうものだ、と言われます。別にアメリカだから・・・ということでもなく、日本だって企業の辞令はある意味、絶対的なものがあり、発令されたら、例えば転勤なら国内外を問わず即、赴任! は当たり前の約束ごとかもしれません。

とはいえ、企業の場合は、あくまで味方内(支社や系列など)でのもの。いきなり“敵”に回るとき、イチローは、昨季までマリナーズ11年間の思いを瞬時にどう整理したのか、あるいは、それも含めて、この世界に生きる大リーガーの覚悟なのか、と複雑なものを感じてしまいます。

イチローが新天地に求める何かは?

救われたのは、昨日までホームで慣れ親しんだ一塁側ベンチを離れ、三塁側ベンチから初打席に向かうとき、スタンドを埋めた2万9991人の観衆(主催者発表)が一斉に立ち上がり、スタンディング・オベーションでイチローに拍手を送り続けたことでした。

それに応えてイチローは、ヘルメットを脱ぎ、深々と四方に頭を下げます。いかにも日本的な情緒的シーン。見ているこちらも、思わず目頭が熱くなる、感動的な光景でした。

私がイチローに対し、目頭を熱くしてしまったのは、これが2度目のことでした。

最初は04年10月1日、本拠地セーフコ・フィールドで行われた対レンジャーズ戦で、1920年にジョージ・シスラーがつくったシーズン257安打の大リーグ記録を塗り替えたとき(イチローは最終的に大リーグ年間安打新記録の262安打を達成)でした。

スタンドの大歓声、チームメートのねぎらい・・・一連の味方陣営の盛大な祝福シーンの中で思わず、ジンときてしまったのが、相手チームの選手による“お尻ポン”でした。

出塁したイチローのお尻を一塁手のティシェイラがポンと叩きます。進塁するごとに二塁手のE・ヤングも、三塁手のブラロックも同様の仕草を見せました。

このさりげない“お尻ポン”の動作に含まれるものは「認知」と「敬意」でしょうか。自国ではない米国での快挙達成。ただ技術がすぐれているだけではなかなか、敵となる相手球団選手の“お尻ポン”の祝福を得られるものではないと思います。

野球にしてもゴルフにしても、かつて米国に向かった先駆者たちは、その地、その環境に溶け込むために、存在を認知してもらうために、どれだけの苦労、努力をしたことでしょうか、それは今の比ではないでしょう。

ヤンキースへの移籍は、マリナーズの若い選手に道を譲りたい、とする、イチロー主導のものだった、と報じられています。その一方、環境を一新することによる自らへの刺激剤とも・・・。

一人の日本人選手がMLBに築いてきた数々の歴史的快挙に今後、また何かが加わるのでしょうか。名門ヤンキースの一員となった「背番号31」は、どんな答えを出してくれるのか、目が離せなくなりました。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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