常に正しくありたい審判の目

4年間の思い、8年間の思い、あるいはそれ以上、競技人生を懸けた思い・・・。日々、積み重ねた鍛錬に、極限にまで高められた気持ち、熱い思いが加わるから、五輪での勝負は人々に感動を与えます。

しかし、それが、審判のミスや運営の不備により、無にされてしまったらどうでしょう。目下、熱戦を繰り広げるロンドン五輪で“目立つ”のは、残念ながら、それらです。

「五輪でメダルを取るために頑張ってきた4年間が1秒で消えてしまった」

フェンシング女子のエペ個人準決勝で、韓国の申アラムが納得できない“1秒”に座り込みの抗議を敢行しました。

延長戦(1分間)にもつれ込んだ試合。残り1秒で相手選手が得点、申アラムは敗れました。しかし、途中、試合が中断されているとき、運営サイドが時計を止めておらず、再開時は残り0秒。急きょ、巻き戻されて「残り1秒」からの再開となりましたが、その瞬間に決められた決勝点に申アラム陣営は「残り1秒はなかったはず。時間を過ぎてからの得点だろう!」との猛抗議に至りました。

こうした運営サイドのミスは、ないに越したことはありませんが、何事も人がやること、なきにしもあらず、といったところが実情です。

とはいえ「4年間の努力が1秒で無にされた」と座り込んだ申アラムの心情を思えば、確かにあってはならないミスでした。

審判による判定の不可解は、柔道、体操に顕著でした。

介入過多のジュリーが混乱の原因

「何やってるんだ!」-。権威も何もない。思わず吹き出してしまったのが、柔道男子66キロ級の準々決勝、海老沼匡(22)への判定です。

韓国のチョジュンホとの一戦。延長戦に入り、海老沼が放った小内巻き込みを主審は有効としながら、ジュリーによって取り消され、決着がつかないまま旗判定となりました。

そして上がった旗は、何が根拠か、3本とも青(チョジュンホ)で呆然とする海老沼。会場も大ブーイング! です。と、そのとき、ジュリーが、取り消した有効に近い小内巻き込みを考慮して判定のやり直しを命じ、今度は3本とも白(海老沼)となり、結果が覆るという、前代未聞の出来事となりました。

柔道のジュリー(審判委員)制度は、正確な判定を期すため、微妙な勝負に対するビデオを利用しての検証など、審判の補助役を目的として導入されています。が、今回は、その介入過多が、変更や取り消しを多く生み、進行の妨げにもなり、また、とうとう判定を覆すまでに至ってしまいました。

海老沼の勝利は、結果として正しい判断だったと思います。しかし、そういう問題ではなく、ではなぜ、審判団が最初に白3本を上げなかったのか、ジュリーに指摘されて判定を覆したところに問題あり、でしょう。韓国陣営の激怒も、つまりは審判団のあいまいな態度に対してのものなのです。

体操男子の団体総合決勝でも、判定をめぐり、ドタバタ劇が起こりました。

日本のエース・内村航平(23)が、あん馬で体勢を崩して着地しました。採点は失敗だけに着目した低いものとなり、合計点は4位のものとなりました。が、体勢を崩したものの、そこに難度の得点が加味されていない、と日本側は猛抗議。結果、得点は修正され、4位から2位に浮上、辛くも面目を保つ「銀獲得」となりました。

しかし、どんなケースであれ、抗議の末に判定が覆ればいい、という問題ではないでしょう。覆されて負けとなった側、日本が2位に浮上すれば、メダル圏外に落ちるものもいるのです。

4年間してきたことの総決算としての泣き笑いが、後味の悪いものとならないよう、判定を下す審判団にこそ、選手以上の訓練、レベルアップが必要なのではないかと思います。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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