映画「駅~STATION」を観て・・・

8月25日夜、テレビのチャンネルをリモコンで無差別にプッシュしていたところ、BS日本映画専門チャンネルで「駅~STATION」(午後11時~)を放映していました。

1981年(昭56)製作(配給・東宝)の降旗康男監督の作品。主演の高倉健は、北海道警の刑事で、東京五輪(1964年)後の1968年メキシコシティ五輪に向けて、射撃競技の代表選手を目指す「三上英次」の役を渋く演じていました。

この映画は確か、以前にテレビを含めて数回、観(み)たことがありますが、暑い夏の、眠れそうにもない土曜日の夜、腰を据えてあらためて、ジックリ鑑賞! ということになりました。

話は「1967年1月 直子」のタイトルから始まります。小樽・銭函(ぜにばこ)駅。動き出した列車の中から泣き笑いの顔で敬礼する、三上の妻・直子(いしだあゆみ)のシーン。刑事という仕事、加えてオリンピックの射撃選手に選ばれて、家庭を顧みることが出来ない日々にやむなく離婚・・・といった切ない別れです。このころのいしだあゆみは、やせて生活やつれがにじみ出ていて、こうした役がなぜか、はまってしまうことが、むしろ悲しいくらいです。

その後「1976年6月 すず子」「1979年12月 桐子」のテーマでそれぞれ、事件がらみの女群が登場して人間模様を描きます。

駅前の食堂で働く「すず子」(烏丸せつこ)は、赤いスカートの女性だけを狙う通り魔・五郎(根津甚八)の妹。「桐子」(倍賞千恵子)は、駅前の小さな居酒屋を女手ひとつ、けなげに切り盛りしていますが、元彼-つまり昔の男が、検問中の三上の上司(大滝秀治)を射殺した連続警察官射殺犯、という過去を背負っています。

シビれました! 倍賞“桐子”の名演技

さすが! というか、思わずうなってしまったのが、倍賞“桐子”千恵子の上手(うま)さでした。

店に立ち寄った三上は、他の客が誰もいない中、桐子とポツリポツリと取りとめのない会話を交わしつつ、熱燗を口に運びます。

店のテレビからは、八代亜紀のあの「舟歌」が流れ、桐子がつぶやく「私、この歌、大好きなの」という言葉に三上は桐子に、自分と同じ孤独のにおいを感じ取り、カウンターを挟む距離が短くなったような雰囲気となります。

桐子に誘われて留萌の町で映画を観た夜、2人が結ばれるのに時間はそうかかりません。そして・・・倍賞“桐子”は、肌を許した男の前での振舞いは、一夜をはさみ、かくあろう、という名演技を展開させるのです。

恥らいつつも、でも・・・と肩をぶつけるように寄せ、腕をたぐって体を密着させていきます。一夜はあっても、将来などは見えないことは、伏し目がちのまなざしに見え隠れしますが、それでも、つかの間のひとときを確認しようとする倍賞“桐子”の一挙手一投足に私はシビれ、寅さんの妹「さくら」役からは想像もつかない“女”の姿に思わず、うなってしまうのでした。

“女”の姿・・・桐子は結局、指名手配されている元彼の犯罪者をアパートの自室にかくまい、それを三上に知られ、目の前で元彼を射殺されてしまいます。

札幌に戻るとき、迷った末に三上は「赤提灯・桐子」のガラス戸を開けます。ガラガラガラ・・・。目が合い、その目をそらし、背中を向け、酒だけを出す桐子。流れる「舟唄」にたまらず、桐子の目から涙が流れ落ちます。

それには気づかずに、あるいは気づいたとしても、どうすることもできず、黙って去る三上です。

高倉健だけに重く、切なく、哀愁漂うシーンですが、健さんも男を漂わせましたが、それ以上に私には、倍賞“桐子”の、女の悲しみの姿が、終わった後も心に残り、そのまま寝ようか、というわけには行かない夜となってしまいました。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

最新記事
カテゴリ
最新トラックバック
月別アーカイブ
最新コメント
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

アクセスランキング
ランクアップにご協力下さい
↓↓↓↓クリック↓↓↓↓
QRコード
QR