企業スポーツ受難の時代に・・・

史上最多のメダル獲得で沸いたロンドン五輪の余韻をまだ残す中、日本のスポーツを支える「企業スポーツ」がまたひとつ、消滅することになりました。エスビー食品陸上部の廃部です。

8月31日に記者会見を開いた同社のスポーツ推進局・瀬古利彦局長によると、来年3月末で陸上部を廃止、厳しい経営環境のもと、苦渋の末に廃部することに至った、ということでした。

赤いユニホームで胸に「S&B」でおなじみのエスビー食品陸上部は、1954年(昭29)に創部され、瀬古氏ら大学の有力選手を数多く擁して全日本実業団駅伝で4連覇を達成するなど日本の陸上長距離界を長く支えてきました。

この残念な出来事を伝えるスポニチ本紙は、マラソンで84年ロサンゼルス、88年ソウルの両五輪に出場した瀬古氏が、会見の席上、会社の経営悪化を廃部の理由としながらも、直接的には今夏のロンドン五輪に代表を送り込めず「(会社を)満足させられなかった。選手の成績も廃部理由の中にあったかもしれない」と話したことを報じていました。

様々な面で簡単にことは運ばす、難しい時代になったなァ、とつくづく思います。

振り返れば、各企業が次々にスポーツ部の休・廃部を発表し始めたのは、00年を迎えたころからだったでしょうか。

金融危機による経済不況を理由として08年末、プリンスホテルがアイスホッケー男子「西武プリンスラビッツ」の活動休止を発表。09年早々には日産自動車が、経営合理化の一環として、都市対抗で優勝経験もある硬式野球部を、さらに卓球部(男子)、陸上部の休部も発表。10年には経営破綻(たん)した日本航空が、客室乗務員業との両立で話題となっていた女子バスケットボール「JALラビッツ」を廃部にするなど“連鎖反応”的に企業スポーツが危機に追い込まれました。

期待される「地域発→全国へ」の形

企業スポーツは、日本独自の形(例えば選手を広告塔として強化することなど)で長年、日本スポーツ界を支えてきました。しかし、好・不況の波にさらされる企業に依存する“企業頼み”には結局、限界があり、こうした休・廃部が相次いだとき、決まって言われるのが、地域に根ざした欧州型クラブ制度への移行と確立、でした。

確かに08年末、会社の経営悪化などで解散に追い込まれたオンワードのアメリカンフットボール部が、翌09年3月、地域密着型のクラブ「相模原ライズ」として再出発しましたが、企業時代に比べれば、大幅な経費削減を余儀なくされる、こうした活動の中、遠征などどれだけ十分な活動が出来るかは、ボランティアを含む地域の理解が欠かせず、日本ではまだまだ、理想の形としての域を出ない、と温度差はかなり・・・といったところが現状のようでした。

こうしたマイナス的要素が続く中、一方では今年6月、宮崎市の宮崎銀行が女子陸上部を創部したことが報じられました。

記事によると会社側は、選手の活躍があれば、職場に一体感が生まれる、だろうことを期待し、部活動に要する経費より、弱まりつつある会社への帰属意識を高めたい、さらには地域への貢献、活性化を重視したい、といった気持ちを大切にしています。

各企業にゆとりがなくなり、抱えるスポーツ各部の維持が難しくなっても、そうそう簡単に“脱・企業”とはいかないのが実情でしょう。

とすれば、宮崎銀行が模索する、地域に全面的におんぶに抱っこの負担をかけるのではない“負担半分”の地域活動、そして地域発→全国へ、つまり、地域を拠点とする企業スポーツという図式が、企業スポーツの新しい形となる可能性を持っているかもしれません。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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