「湘南映画上映会」に足を運んで・・・

「茅ヶ崎市」(神奈川県)は、私が住む藤沢市(同)からJR東海道線で下って2駅目の“隣町”です。

藤沢市と茅ヶ崎のひと駅先にある平塚市が江戸時代、東海道五十三次の宿場町として栄え、その中間エリアに位置する茅ヶ崎市は、通過するだけの、景色のいい農村地帯だったようですが、その後の発展状況も、それに応じ、隣接する市に比べて後れを取っているところがあったようです。

が、昨今の茅ヶ崎は、独自の“茅ヶ崎発”文化・スポーツを発信する地域として注目を集めるようになってきました。俳優などマルチタレントの加山雄三や人気ミュージシャン、サザンオールスターズの桑田佳祐の出身地であることから、市内の道路に「雄三通り」とか「サザン通り」とか、が名付けられ(もっとも、この出来事は古くからの住民には反感を買ったようですが・・・)観光客へのアピールにひと役買い、また、ボクシングのジム「ピストン堀口道場」(堀口昌信会長)や柔道家でプロレスラーの小川直也が主宰する道場もあり、かつての“通過の町”から“振り向きたい町”へと変貌を遂げているようです。

「シネマテーク茅ヶ崎」も、そんな活動の一つなのでしょう。9月2日の日曜日午後、茅ヶ崎在住の友人から声がかかり、茅ヶ崎市立図書館で開かれた「第10回湘南映画上映会」に足を運びました。

福田浩三氏が代表を務める「シネマテーク茅ヶ崎」は08年7月、湘南の映画人に焦点を当てながら、映画芸術の振興に役立てたい、として設立に至っています。記念すべき第1回は、藤沢市辻堂に在住していた木下恵介監督の「笛吹川」(1960年公開=松竹)を上映したとのことでした

それから上映会は、今回で第10回に至り、上映された作品は、野村芳太郎監督の「五瓣(べん)の椿」(1964年公開=松竹)でした。

松竹がこのとき、主演を務めた23歳の岩下志麻に大女優への道を歩かせようと準備した、この山本周五郎原作の文芸大作には、湘南在住の映画人が複数、携わっています。撮影監督におなじみの名カメラマン、藤沢市在住の川又昂氏、照明にこの6月、83歳で他界した、やはり藤沢市在住の三浦礼氏ら・・・です。

地域発の“草の根”文化活動に共鳴!

この上映会に出席した川又氏は、上映後にこんな思い出を語っていました。

〈オシマ(岩下志麻)を松竹の看板スターにしろ! との厳命が上からありました。そのため、松竹としては珍しく、予算をふんだんに使うことができた。当時・・・東京五輪が開催された年代ですが・・・一般的な映画の予算は3000万円といったところでしたが、この映画製作には、その3倍の予算、9000万円が認められましたね〉

「五瓣の椿」は、結核に侵された「むさし屋」の当主である父・喜兵衛(加藤嘉)の死に際の一言に出生の秘密を嗅ぎ取った娘・おしの(岩下志麻)が、好色な母親・おその(左幸子)と関係した男たちに次々に復讐する、というストーリーです。

「御定法で罰することの出来ない罪」を掲げて、鬼気迫る復讐の殺人を続ける岩下“おしの”は、恨みを晴らした後、晴ればれとした顔で服役しますが、次第に罪の重さがのしかかり、最後には自殺に至ってしまいます。

川又氏は、撮影中の苦労話として、岩下志麻が漂わせる“妖気”を、三浦氏が務めた照明を通してどう表現するかに苦慮したことを明かしていました。

この作品は、時代劇には珍しく、大船(鎌倉市)撮影所で製作されたとのことでしたが、とともに松竹は、撮影所が大船にあった関係で多くの監督、俳優、スタッフが湘南エリアに点在しています。この日、顔を見せた大島渚監督夫人の小山明子さんも、そんな面々の一人ですが、福田代表は「これからもどんどん、湘南映画人の生トークを提供したい。湘南の映画文化の奥深さを再発見してほしい」と意気込みを披露していました。

ちなみにこの日夜、私に「上映会」参加の誘いをかけてきた友人から送られてきたメールには、こんな文字が並べられていました。

〈小都市の文化活動もいいものだと感じています。押し付けではない草の根的文化活動の広がりを支持したいと思います〉

静かな言葉の裏に「茅ヶ崎発」の熱い思いがのぞかれます。いいですねェ。慌てず騒がす、一歩づつの前進! の気概。夏が終わった9月の始まり・・・何やら感動してしまいます。
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御礼

佐藤様
遅ればせながら、佐藤様の「湘南映画上映会」のブログ拝見いたしました。
光栄な賛辞をいただき、恐縮しております。
これも、地元の皆様、ゲストの皆様などのご協力があってこそです。
当日応対もできず、大変失礼いたしました。
今後とも、ささやかではありますが、続けて参る所存です。
ご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。

福田

プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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