日本人ヘビー級戦士の可能性は?

手元に私の古い「格闘技系取材ノート」があります。その中のこんなメモ・・・。

〈090328 K-1ワールドGP横浜大会 ヘビー級王者決定トーナメントで前田慶次郎(チームドラゴン)が優勝 日本人初の重量級王者となる〉

そうです。09年3月28日に神奈川・横浜アリーナで開催されたK-1の「ワールドGP」で行われたヘビー級王者決定トーナメントをジャパン戦士の前田慶次郎(当時22歳)が制し、第2代王者となった、という画期的な出来事です。

当時のスポニチ本紙を見るとこう書かれています。

「前田が日本人の悲願だった重量級初の頂点へ上り詰めた。1回戦で“野獣”メルヴィン・マヌーフ(オランダ)を1R2分2秒、右フックで倒す大金星。勢いそのままに決勝ではグーカン・サキ(トルコ)を延長判定2-0で下し、見事に黄金のベルトを手にした。(攻略)」

この前田慶次郎が現在、プロボクシングのヘビー級戦士として注目を集めている藤本京太郎(26=角海老宝石)です。「藤本京太郎」は本名。K-1時代はヘビー級王者となった後、09年8月にリングネームを「京太郎」とするなど、こちらが“誰だっけ?”と戸惑うほど、名前を多く変えたファイターとして印象に残っています。

プロボクサーへの転向は、11年以降、K-1を運営するFEGの経営難により、同リングの興行の先行きのメドが立たなくなってしまったことが原因でした。

ボクシングジムの「角海老宝石」に入門した京太郎は、同年の大みそか、大阪府立体育会館で行われたWBC世界ミニマム級王者・井岡一翔(井岡)のV2戦の前座(ヘビー級6回戦)でプロデビュー。その試合を含めて4連勝を重ね、注目された9月19日の初の世界ランカーとの試合、対チャウンシー・ウェリバー(29=米国、WBC世界ヘビー級15位)戦に臨みました。

周囲に大切な育成への取り組み

K-1のリングには過去、元プロボクサーたちが多く、上がったりしていました。キックボクサーとボクサーとではどうなのか? の話題づくり。単純に考えて、キックボクサーがキックを放つ際、どうしても甘くなるガードをついて、ボクサーが素早く中に入り込み連打・・・というシーンを思い浮かべると、ボクサーのほうが強いのでは、と思いますが、実際はキックの前にことごとく跳ね返される光景ばかりでした。

では逆に・・・キックボクサーがボクシング゛のリングに上がったときは? 

体重113・5キロの肥満体型のウェリバーは、102・4キロの京太郎より約11キロも重く、身長も5センチの差があります。そんな相手への作戦は、スピードと手数、そして重い動きの相手の横に回り、中に入り込み、執拗に繰り広げるボディー攻撃でした。

結果は判定3-0の勝利です。日本ランク1位、東洋太平洋ランク8位。そして京太郎には、ウェリバーに勝ったことで世界ランカー入りは確実、という勲章が約束されました。

K-1のような華やかな舞台での活躍を経験したファイターは、ボクシング界への転向に際して、どうしても軽視しがちな傾向が出てしまいます。

が、ウェリバーに勝利後、京太郎は「ボクシングは甘いもんじゃない、と思った。勝ててホント、良かった」と、表情を引き締め、謙虚な言葉を口にしていました。

今後の京太郎のターゲットは当面、東洋太平洋ランク1位のソニー・ビル・ウィリアムズ(ニュージーランド)と空位となっている王座を争うこと、になると思われます。

K-1時代はピーター・アーツ(オランダ)やジェロム・レ・バンナ(フランス)らと激闘を展開させてきた京太郎です。巨漢との戦いには慣れていることと思います。貴重な存在ともいえる、日本では数少ないヘビー級戦士の台頭ですが、本人の姿勢が真剣であるなら、ジムを含む周囲がこれから、それをどう支援していくか、という“育成”のテーマも、今後に向けて大事なことではないかと思います。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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