マンション暮らし考⑪

最近、新聞各紙の社会面をにぎわせる、各種事件の殺伐(さつばつ)性は、本当に目を覆うものがあります。

東京・世田谷区で10月10日に起きた、元警視庁警視の女性刺殺、立てこもり事件は、近隣に住む双方の「隣人トラブル」が引き金になったとみられており、が、そのトラブルにしても、そんな些細なことで・・・と思われることばかりなのに、そうしたことの日常の積み重ねは、行き着くところ、凶行にまで及ばせるものなのか、と背筋が寒くなる思いです。

「隣人トラブル」は、集合住宅であるマンションでの生活にも結構、多いものです。

私は、それまでの一戸建てから02年(平14)8月、今のマンションに移住、集合住宅暮らしを始めて10年が経ちましたが、輪番制による“お役目”の管理組合役員(互選により理事長を仰せつかっていました)を務めていたとき、居住者の苦情と言えば、騒音(生活音)に関するものが、相当数ありました。

例えば、居住者Aさんは、上の階に住む居住者Bさん宅から出る音が「我慢しきれない」と言いました。パタパタというスリッパの音、子供たちが走り回るドタドタッという音、あるいはドアが閉まるバタン! という音・・・などなど。

集合住宅における騒音、生活音の問題は、古くからある“古典的”なテーマともいえるものでしょうが、この種の生活騒音は「感情公害」と言われ、音を出す側とそれを受ける側の感覚に差があり、解決策がなかなか見つからない、というところに限りない難しさを秘めています。

許容度の違いが生むトラブル

私と話したAさんは、常識的、かつ冷静な方で「許容度はわきまえているつもりです」と言いました。が、それを超えたときはどうなのか。「もちろん、超えたかどうかにも個人差はあるのでしょうが、私は“これが日々、続いては、とても・・・”と我慢しきれないところで、思い切って苦情を呈しました」と“我慢の限界”を口にしていました。

騒音への苦情の中には、夜中のペットの鳴き声、もありました。一つの対応策として、では(理事長役の)私が間に入って双方、話し合ってみますか? という提案をしましたが、それは最初からだいたい、分かっていることでしたが、やはり、あとあとの“いがみ合い”となることは避けたい、という気持ちが誰にもあり、拒否されました。

例えば、自分の子供たちが、力あまって部屋の中を駆け回ることは、元気であることの証明であり、親としては、コラコラおとなしく! 程度の感覚でニコニコと見守っているのが普通だとと思います。しかし、階下でその音を聞かされる側は、イライラが募り、直接「うるさい!」と怒鳴り込んだとしたら、売り言葉に買い言葉! となってしまうことでしょう。

「感情公害」とされる騒音問題は、だいたい、そうした食い違い、判断の差がエスカレートして、激しい対立を生んでしまうのではないでしょうか。

ただ、そうした近隣トラブルが、今回の事件のように殺人まで及んでしまうものなのか、については、どうしても理解の範囲を超えたものです。

事件を起こした元警視庁警視は、86歳の高齢者とのことですが、活躍したことだろう現職を離れ、地域での生活に立ち戻ったとき、元・・・を表に出すのではなく、例えば、自身が思う適正を「10」としたら、言動を「9」か「8」くらいに抑えておこうか、とする謙虚な気持ちこそが、地域社会の円滑性を生むのではないかと思います。

それが常識的な人間が持つ「配慮」というものでしょう。

(注=このシリーズは「日常」の項に収めています)
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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