ゴルフ・トーナメントの「観戦マナー」考

ゴルフ好きの友人との雑談中、トーナメント会場に足を運ぶギャラリー(観客)の、このところ頻繁(ひんぱん)に指摘されている「観戦マナー」について、がテーマとなりました。

友人がまず、口をとがらせたのは、あの「お静かに!」の手看板でした。

選手がアドレスに入れば、インパクトが終わるまで、周辺は静寂が強いられます。その間、私語禁止、歩行禁止(カート道を歩くと音がする)、撮影禁止(シャッター音は最大の敵)・・・。音をめぐる選手とギャラリーのトラブルは後を絶たず、運営サイドは、メンタル・スポーツの、それがマナーです! とばかり「お静かに!」で音を神経質にまで抑え込みます。

でもね・・・と友人が言いました。

〈入場料を払って見に行く側としては、あの“強要”は、どうにも気分を害するものだよ。ゴルフの観客はしいたげられ過ぎている〉

そもそも、スポーツ観戦の楽しみは、贔屓(ひいき)のチーム、贔屓の選手に対する熱狂にあります。野球、サッカー、ボクシング、格闘技・・・それは、観戦するファンの歓声と熱気に包まれてこそ、のものがありますが、ことゴルフに限っては、ゲームの性格上、それは絶対的と言えるほど抑えられてきました。

その意味でゴルフ・トーナメントを観戦するギャラリーは、選手の良いプレーのためには、我慢を強いられる立場にあり、目の前の贔屓の選手のナイスプレーに対しても、ここで拍手をしては他の選手の妨害にならないか? など注意深く考えながら歩かなければならないのだ、と良き観戦マナーの持ち主であることを自認する友人は言うのです。

『ゴルファー潰すに刃物はいらぬ。カメラの一つもあればいい』-などと言います。私もこれまでさんざん、携帯電話のカメラを含むシャッター音でプレーヤーがミスする場面を見てきました。

ある日、あるとき、です。国内トーナメントに参戦していた宮里藍が、グリーン上でパットのアドレスに入りました。距離は約2メートルほどの入れごろ外しごろ、集中を必要とするパットです。

慎重に構えてテークバック。そしてインパクトに向かう途中で“カシャ”が鳴ってしまいました。ミスショットとなったパットは、ラインに乗りながらカップ手前で止まるショート。大事なバーディーを逃してしまいました。

望まれる選手とギャラリーの一体感

カメラのシャツター音、携帯電話の着信音などがもたらす妨害は、本当に後を絶ちません。ひどかったのは2週前に行われた国内男子ツアー「キヤノン・オープン」(10月7日最終日)でした。

26歳の池田勇太が最年少でツアー通算10勝を達成したこのトーナメント、開催コースが首都圏の名門・戸塚カントリー倶楽部(神奈川県横浜市)だったこともあり連日、大勢のギャラリーが詰め掛けました。

その前の「コカ・コーラ東海クラシック」(9月30日最終日=愛知・三好CC)最終日が、台風直撃に備えて無観客となり、池田らはあらためて、観客あってこそのプロ、を痛感させられました

が、今度は観客のマナー違反に“痛し痒(かゆ)し”となってしまいました。

第2日、池田はグリーン上で、携帯電話の着信音禍のため、何度も仕切り直しを余儀なくされてしまいます。第3日は、何と女性ギャラリーが叫び声を発してプレーを妨害するアクシデントに見舞われ、10分間ほどプレーがストップしてしまう出来事もあったとのことでした。

メンタル・ゲームとして集中が必要とされるゴルフ・トーナメントでは、観戦する側のマナーも確かに必要となります。ただ、それは“強要”されるものではなく、人が常識的に心得ているべきものでしょう。つまり、携帯電話などは「OFF」にしておくか「マナーモード」にしておくことは、注意などされなくとも当たり前のことであり、最近見かけるハイヒールで歩き回る女性ギャラリーなども論外のマナー違反でしょう。

一部の心ない、非常識な観客のために「お静かに!」が強制的になってしまい、マナーを守っている、心ある観客に不快感を与えてしまいます。

が、その一方、池田が無観客試合を嘆き、やはり、観客がいてこそ、と熱狂の中での充実感を求めるなら、プレーヤー側も少々の音くらいではビクともしない訓練が必要であり、これからは「騒音の中でも勝つ」というプロ意識が必要とされるのではないでしょうか。

かつてあった青木功のプロ意識-。

バンカーショットのアドレスに入った青木に対し、ルールを熟知している、ある新聞社カメラマンがつい、ラインの真後ろ(ルール違反)に構え、早めのシャッターを押してしまいました。ミスして怒る青木。そのカメラマンは青木がホールアウト後、謝罪に出向きました。

身を縮めて頭を下げるカメラマンに青木はこう言いました。

〈お互い、常にベストショットを目指すプロだろ。気をつけようぜ!〉

泣かせました。この男気に・・・。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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