増える中・高年齢者の遭難事故

昨今、元気な中・高年齢者層に人気の登山ですが、楽しかるべき海外の山歩きが、天候の激変により、死者をも出す惨劇を生んでしまっては、ただただ気が重くなるばかりです。

中国・河北省張家口市の「万里の長城」付近で日本人ツアー客3人が死亡した遭難事故は、万里の長城の中でも観光地化されていない辺境部を1日約15キロ、7日間の日程で計100キロをトレッキングしよう、という旅行代理店(東京・千代田区)の企画の中で起きたものでした。

その旅行代理店は09年7月、まだ記憶に新しい、北海道・大雪山系「トムラウシ山」で起きた、登山客ら8人が低体温症で凍死するという遭難事故を起こした山行を企画した会社とあって、繰り返された惨劇の背景にある、主催者側の「甘すぎる認識」に対して“こんなことって本当に許されていいものか!”と、信じられない出来ごとに怒りさえ覚えてしまいます。

「トムラウシ山」の遭難事故は、天候の変化に対応すべく装備の一部不足に加え、ツアー客の年齢の高さ、それにともなう疲労度、耐久度の限界など・・・それらをカバーする立場にあるガイドのプロとしての判断ミス、認識の低さ、などが引き起こしたもの、と指摘されました。

今回の「万里の長城」付近の遭難事故も、信じたくないことですが「トラムウシ山」の遭難事故とまったく同様の原因で起きていることが分かります。

信じ難い惨劇の繰り返し

そうした状況の中、私の友人が「それにしても・・・」と首をかしげて言いました。

「それにしても・・・だよ。過去の反省もなく、見通しの甘い、準備も満足でない、こんな企画を売りに出した旅行代理店が、その杜撰(ずさん)さを全面的に糾弾されても仕方のない出来ごとだよね。でも、どうかな。その会社が過去に問題を起こしているのなら、申し込む側にも慎重さが必要だったのではないだろうかねェ」

登山を楽しむ中・高年齢者の増加は年々、右肩上がりですが、とともに起こす事故も比例して増えつつあり、社会問題化しています。一般的にこの年齢層の登山ファンは、山岳会などに所属して本格的な訓練を受けた、などという経験はほとんど、ないものと思われます。彼らの楽しみ方は、趣味の範囲で行われ、やはり、旅行代理店によって企画されるツアーに加わる、というのが手ごろな形なのでしょう。

従って遭難事故が起きるたびに、天候の変化を含めた山の自然への無知、ガイドを含むグループの経験不足、無理な日程による体力の低下と限界・・・などが指摘されます。

基本的にツアー参加者への配慮は、企画を売った側の管理の範囲内のものであり、ツアー参加者を守ることは鉄則であり、何かが起きれば管理責任が追及されるのは当然のことです。そしてツアー参加者も、会社(あるいは会社が雇ったガイド)におんぶに抱っこの状態であることは否めないでしょう。

が、山にしろ海にしろ、自然へのチャレンジというものは本来、大小を問わず、自己責任で行われるもの、という暗黙の了解事項があります。つまり「頑張り」は、自分の限界と相談したものでなくてはならず、その意味で窮地に陥った際、自分を第三者的に見られる訓練を積んでいなければなりません。

この大事な要素は、登山家にしても、ヨットで単独世界一周に乗り出すセイラーにしても、皆が持ち合わせているものです。つまり、自然の世界では、頑張りどころではないところでの頑張りは、単なる無謀で危険をはらみ、事故の元となりがちなのです。

元気な中・高年齢者が山歩きを楽しむことは大いに結構なことです。が、楽しむことにあっても、集団の勢いに頼るのではなく、個々が相応の知識を持って、自然を侮らず、引くところは引く勇気を持って慎重に対応することが大切なことなのでは・・・と思います。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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