大みそかのボクシング興行考

2000年代前半、一年の締めくくり、大みそかは「格闘技」興行のオンパレードでした。

まず、アントニオ猪木が仕掛けました。

〈紅白歌合戦にひと泡吹かせようじゃないか! 外にいるヤツ、みんな集まれ~!〉

こんな号令のもと、00年12月31日の大阪ドームは、総合格闘家とプロレスラーが、垣根を外してごちゃ混ぜとなり、何だかよく分からない興行で盛り上がり、何だかよく分からないうちに終わり、観客もカウントダウンの興奮に包まれながら、なぜか満足そうな笑顔で初日の出を見に行く光景が、不思議に今でも脳裏に焼きついています。

翌01年には、K-1を率いた石井和義元正道会館館長が、支離滅裂的? だった猪木ワールドを「K-1軍vs猪木軍」の図式で整備。大みそかはTBS主催、全国ネット放送という画期的な、本格興行形態でファンの熱い気持ちに応えました。

ごちゃごちゃ言わずにとにかくやってみようじゃないか! と巨大風車に勝負を挑んだ2人のドン・キホーテの夢想は、しかし、異例の2ケタ視聴率(平均14・9%)という現実に“オイオイ、これは!”と正気に戻ります。

以後、裏番組づくりに苦慮していた民放各局が、大みそかは格闘技興行! と一斉に目を向け始めたことは、全盛時、無謀にも3局が競合し合ったことに証明されたものでした。

定番だった格闘技興行に代わり・・・結果は?

時が流れ、結果として“砂上の楼閣”的だった格闘技熱が去り、今、大みそかはどうか? と見渡すとき、それはボクシング興行に代わり、気を吐く姿が見えています。

昨年大みそか、関西では大阪でWBC世界ミニマム級王者(当時)井岡一翔(井岡)のV2戦が、関東では神奈川でWBA世界スーパーフェザー級王者・内山高志(ワタナベ)のV4戦が、それぞれ行われました。

テレビ局は、井岡の試合はTBS系が、内山の試合はテレビ東京系が、それぞれ放送しました。発表された視聴率は、両試合とも1ケタ台だったものの、紅白歌合戦の“裏”であること、あわよくば・・・を狙った格闘技系興行とは対照的にボクシング興行は地道であること、などから、これは許容の範囲だったようです。

だから(でしょうか?)両テレビ局は、今年も大みそか、ボクシング興行を実施します。TBS系が大阪(ボディーメーカーコロシアム)で行われる宮崎亮(井岡)vsポンサワン・ポープラムック(タイ)のWBA世界ミニマム級王座決定戦を、テレビ東京系が東京(大田区総合体育館)で行われる内山高志(ワタナベ)vsブライアン・バスケス(コスタリカ)の正規王者と暫定王者によるWBA世界スーパーフェザー級王座統一戦(内山のV6戦)を中心とするトリプル世界戦を、それぞれ受け持ちます。

宮崎は、井岡が返上した同級王座を目指し、トリプル世界戦には、内山のほかにWBC世界スーパーフライ級王者・佐藤洋太(協栄)が登場、河野公平(ワタナベ)がWBAスーパーフライ級王座に挑みます。

つまり、今年の大みそかには、ボクシングだけで4つの世界戦が行われ、お茶の間にその熱風が送り込まれるわけです。

いずれにしろ、今の社会、ライブに勝るものはなく、つまらないつくりものを電波に乗せるのだったら、スポーツなどの生中継の方がいいに決まっています。

2年連続して行われるこの試みが、果たしてどんなインパクトを与えることになるのか、ボクシング人気回復の起爆剤になり得るのか、結果と新年への流れをじっくり見たいと思います。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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