「ゆるキャラ」人気の裏に・・・

これも時代(とき)の流れ、世相の変化、なのでしょうか。

行楽日和となった11月25日の日曜日、テレビ局が夕方のニュースで映し出した光景に、思わず吹き出し、ガクッと“緩(ゆる)んで”しまいました。

11月24、25日の両日、埼玉・羽生市(羽生水郷公演)で開催された「ゆるキャラさみっとin羽生」と題したイベントです。

同イベントには、全国各地域で人気のゆるキャラ265体が大集合して、2日間計29万5000人の来場者と熱い? いや、緩い交流。また、インターネット投票による、ゆるキャラ日本一を決める「ゆるキャラグランプリ2012」には、愛媛・今治市の「バリィさん」(得票54万7284票=総投票数659万0177票)が輝きましたが、今回の参加は、全国から実に865体(海外2体を含む=昨年349体)となったとのことで、昨今のゆるキャラ人気の高まりを示す出来事となりました。

ゆるキャラとは、言うまでもなく「緩いマスコット・キャラクター」の略称で、全国各地域の地域おこしに一役買っている、主に着ぐるみ状の人形体のことです。「ゆるキャラ」の命名者は、漫画家でエッセイストのみうらじゅん氏とのこと。「ゆるキャラ三か条」(こういうものがあるんですねェ~)によると①郷土愛に満ちあふれた強いメッセージ性があること②立ち居振る舞いが不安定、かつユニークであること③愛すべき緩さを持ち合わせていること-なのだそうです。(この項「Wikipedia」参考)

「強さ」から「弱さ」への方向転換

つまり、ゆるキャラの彼&彼女たちの持ち味は、弱さ、可愛らしさ、優しさ、親しみやすさ・・・などにあり、いわゆる“完全無欠の強さ”像からはほど遠く、むしろ対極にあり、それが「助け合って一緒に頑張ろうね」といった共感に結びついていることが感じられます。

振り返ってみれば、私たちが少年時代、憧れの対象となったヒーローのキャラクターは、常に“強さ”でした。

漫画雑誌に連載されていた手塚治虫氏の「鉄腕アトム」(1963年から初の国産アニメとしてテレビに登場)は、地球の平和を守るために悪と戦う無敵のロボット少年だったし、その後に登場した「巨人の星」や「あしたのジョー」も、人間らしい苦境、苦節はあっても、歯を食いしばって成し遂げる強さが、読む(観る)側に「俺もこうありたい」と教えてくれていたと思います。

例えば以前、人気シリーズとなった東映の「任侠路線」で、映画を観(み)終わった観客は皆、高倉健のような歩き方をして帰路についた、というような現象があったし、プロレスの世界では“邪道”として既成と戦う形をつくり上げた大仁田厚のリングは、観客の皆が大仁田厚になり切って熱かったりしたものでした。

つまり、ついこの間まで、ヒーローはあくまで強く、弱者への心強い味方として存在し、一方、弱者は自らにない強さを、スクリーンの中の高倉健に、あるいはリングの上の大仁田厚に求め、そして数時間、その姿に陶酔し、明日への活力に結びつけます。ヒーローとは、そういう役割を持つ存在、であることが当たり前のことでした。

が、時代は変わり、頑張ってもなかなか、成し遂げにくくなり、人々の意識も次第に変わらざるを得なくなります。強さは疲れる、とてもとても、付き合いきれない、お互い楽に弱さを共感し合いたい、といった方向転換です。

それが、ゆるキャラ人気を生んでいるとはいいませんが、人々が振り向くヒーロー像が、かつての完全無欠の強さから、ときにはつまづき、気絶もしかねない弱さをも持つもの、に変わってきていることは、一つの傾向としてあるようです。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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