高視聴率の背景にあるものは?

「平均20・5%」-。

この数字は、プロボクシングのWBA世界バンタム級王者・亀田興毅(26=亀田)が、12月4日(大阪・ボディメーカーコロシアム)に行った同級タイトルマッチで叩き出したテレビ視聴率(関東地区)=ビデオリサーチ調べ、以下同=です。

関東地区の視聴率は、1%がだいたい「17万4000世帯」に相当すると言われていますから、20%だと約348万世帯。試合は平日火曜日の午後8時21分ゴングでその時間帯、家族全員がそろわなくとも、仮に1世帯平均2人が見ていたとして約696万人! このエリアだけで実に1392万個の目が、この映像を見届けたことになります。

試合を放送したのはTBS系でした。同局は午後7時から、亀田興の試合が終わる午後9時過ぎまでの時間帯で完全生中継。ちなみに関西地区の平均視聴率は21・4%、瞬間視聴率は、関西が25・5%、関東が25・1%といずれも高い数字が出ており、同局のしてやったり! との“どや顔”が見えてきそうです。

亀田興はバンタム級に転向後、10年12月26日に同級王座を獲得(日本選手初の3階級制覇を達成)しましたが、以後、4度の防衛戦はいずれもランク下位選手との対戦を押し通し、ずっとつきまとっていた“実力のほどは?”の疑問を晴らすまでには依然、いかない情勢にありました。

それが今回のV5戦、相手のウーゴ・ルイス(26=メキシコ)は、暫定王者(ランク1位)であり、KO率87・5%を誇るハードパンチャーであり、しかも、亀田興にとっては同級で初となる指名試合に臨むという、真価が問われる試合でもあり、反(アンチ)亀田派が“倒される”姿に期待して視聴率アップに協力したことは想定内のことでしょう。

亀田興の「頭脳的作戦」をどう評価するか

試合が終わり、ジャッジ2人が116-113、115-113で亀田興の勝利、1人が117-113でルイスの勝利、と採点しました。2-1の判定で亀田興の勝利が確定したとき、亀田興の戦い方を見た方々は、何を感じたことでしょうか。

リーチが7センチも上回り、体格差で優位に立つルイス相手に亀田興は序盤、足を使って距離を大きく取り、相手の出を待つ構えに徹します。機を見て飛び込んでは、すぐ離れ、的を絞らせない作戦です。

それは9回まで続き、積極的に出てこない亀田興にルイスがイラ立ち、焦り、ついに自分から前に出て行った10回からの大詰めの3ラウンド、亀田興は一気に中に入り、接近戦に転じました。総じてルイスは自分の距離を最後まで封じられ、終わって見れば、亀田興にしてやられた形となってしまいました。

試合後にルイスは「カメダはもっと(前に)出てくる選手だと思っていた」と話しました。一方の亀田興は、試合前に「5回くらいにKOされる夢を見た」と振り返ります。

2人の、戦う相手に対するこの印象が、明暗を分けた、とあるいはいえるかもしれません。出てくるだろう相手に必殺のアッパーを用意していたルイスは、出てこない相手に調子を狂わされ、夢の中でKOされている亀田興は、そうならないために自分からは出ずに相手を誘い込む戦い方に専念します。

1人のジャッジがルイスの勝ちとした採点は、亀田興の手数の少なさを反映したものではないかと思われ、亀田興の戦い方を、相変わらず逃げているではないか、と反・亀田派の面々は、苦虫を噛(か)み潰したかのような顔で批判しているかもしれません。

気持ちはよ~く分かります。

が、暫定王座を4度も防衛した強打のルイスを焦らせ、慌てさせ、最後まで自分のボクシングをさせなかった亀田興の頭脳的作戦を、ここは認めてもよいのではないか、と思う戦いだったように私は感じています。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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