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ブレない「謝罪の仕方」は?

柔道界での指導者層による暴力やパワーハラスメントなど、あるいは中・高校の体育会系部活動における、これも指導者層による暴力や体罰など、が次々に表沙汰になり、関係者が深々と頭を下げて謝罪する姿が、このところ増えています。

こうした光景は、謝罪会見を報じるテレビの画面でも、ほとんど毎日! といってもいいくらいの頻度で目に飛び込んできますが、以前、友人とその種のテーマで話していたところ、日本人は謝罪の仕方が下手なのだろうかねェ、まあ、テレビの画面を通してでは、何とも言えないところがあるけど、肝心要(かなめ)の「何を」「誰に」謝罪しているのか、伝わってこないものねェ、発覚して騒ぎになってしまったことを、とりあえず収めたい、といったことだけのパフォーマンスにしか見えない、と厳しい見方をしていました。

そんな矢先、NHK総合テレビが、2月9日の「週刊ニュース深読み」(午前8時15分~)で、一部週刊誌に自らのスキャンダルを報じられたことで頭を丸めたAKB48の峯岸みなみ(20)を取り上げ「丸刈りで謝罪のナゼ」というテーマの番組を放送しました。

司会者は、そんな出来事を取り上げたことの理由として、峯岸が頭を丸刈りにした映像をYouTubeに流したため、世界中の目に触れることになり、日本人の謝罪の仕方が改めて、問われることになったから、としていました。

この遊び盛りの若い女性タレントが、親しくなった男友達との間で何をしようと、それが所属するグループの内規に違反するものであろうと、別に社会的に違反することでも何でもなく、どうでもいいことですが、20歳の女性が謝罪の意を表すために頭を丸刈りにしたことについては、一考の余地がありそうです。

丸刈りは「謝罪」ではなく「自戒」の意

この番組にコメンテーターとして出演した識者は、一般的な謝罪の概論として①誰に謝っているのか②何に謝っているのか、そして③(過ちを)今後どうするのか、の主要3点を、謝罪する側は、相手に伝えなければならない、伝えられなければ、それは謝罪にはならない、と話していました。

謝罪の原則として、まったくその通りで、それは友人が指摘した「何を」「誰に」謝罪しているのか分からない、という「?」を言い当てていることと思います。

峯岸の場合、若い女性にとって、大事ではないはずもない髪の毛を自ら、バッサリ切り捨てたことは、あくまでその人の内面の問題、つまり「自戒」の意でしょう。従って謝罪の原則にある「何を」を認めた行為だったとしても「誰に」「今後は」に対しては不明瞭です。そこに見えるのは、自ら頭を刈った気持ちを察して寛大な処置を・・・という、漠然とした“お願い”だけです。

まあ、そうしたことはさておき、NHKの番組では、日本人にとって反省や自戒の意がなぜ、丸刈りなのか? ということを掘り下げ、結局、それは、仏門に向かう僧や尼の「剃髪(ていはつ)」思想に行き着きます。

出家・得度(とくど)に剃髪は決まりものとなっています。関連語として「剃髪落飾」や「剃髪染衣(ぜんえ)」などがありますが、いずれも、髪を剃り、飾りを捨て、黒染めの衣を着け、俗世を捨てて仏門に入り、仏の弟子になって修行に励むという仏教の形です。

仏門に入る際の剃髪が、俗世を捨てて仏に仕えることの決意表明であることが、俗世に生きる一般の人々もまた、髪の毛を刈ることは、反省や自戒の意を表すもの、との認識を生んでいるのかもしれません。

が、俗世の丸刈りは“一時的”なものです。つまり、ゴメンナサイ、頭を丸めてイチから出直します、という決意を表すものですが、背景に“髪の毛が元に戻るまで”という「期限」が暗黙の了解事項としてあります。

例えば高校の野球部選手が、何かに失敗して丸刈りを命ぜられたとき、命じた監督やコーチの胸中には、髪の毛が元に戻ったとき、以前より上達していてくれよ、という願いがきっとある、一時的なペナルティであるはずです。

こうして考えてみると、丸刈りの意図は「謝罪」ではなく、あくまで「自戒」であることが明確となり、謝罪の仕方としては、やはり、先に記した3原則、つまり「何に謝罪」「誰に謝罪」「今後の対策」がなければ成り立たない、ということを今後、まだまだ増えるだろう謝罪者は、肝に銘じておくことが必要なようです。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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