28歳スイマーの日本記録更新に思うこと

競泳の日本短水路選手権(2月23日開幕=神奈川・相模原市立総合水泳場)で女子50メートル背泳ぎに出場した28歳の寺川綾(ミズノ)が、自身が持つ短水路日本記録を更新、という報に接し「スポーツにおける強さとは?」のテーマを改めて考えさせられました。

昨夏のロンドン五輪競泳女子100メートル背泳ぎで銅メダルを獲得するなど活躍した寺川が、短水路の女子50メートル背泳ぎで日本記録を樹立したのが、09年11月のW杯ストックホルム大会でした。記録は26秒13。当時24歳、あと2日で25歳-。

それから3年余が経過し、年齢も28歳となって迎えた今大会、そのときの記録を0秒08更新する26秒05(優勝)をマークして新たな日本新記録を刻みました。

こうした“日々進化”の寺川を見ていて感じることは、多くの経験を積んだことによって得られるレースへの柔軟な対応力、でしょうか。

スポーツ各界での若年層の台頭は昨今、際立って目につきます。ノルディックスキーのジャンプ女子で活躍する16歳の高梨沙羅、海外でも米女子ゴルフツアーで並みいるプロ連中を震え上がらせる15歳の“天才アマ”リディア・コ(ニュージーランド)ら、さらに寺川の目の前でも、16歳の渡部香生子(JSS立石)が、女子100メートル平泳ぎ(1分5秒18=短水路高校新記録)と女子100メートル個人メドレー(59秒34=日本新記録)の2冠を達成しています。

柔軟な対応力による強さ

平成世代の10代選手の持ち味は、感性による技術習得の速さ、もあるでしょうが、基本的には、若さによる怖いもの知らずの勢い、でしょう。が、28歳ともなれば、それらに頼るわけにはいきません。まして若い層が主軸の水泳の世界、社会人選手の出番は年々、少なくなっていることは否めません。

4年に1度のオリンピックを最大の目標にして練習に励むアマチュアのスポーツ選手にとって、一大イベントの五輪終了後は、期間の長短はあるにしろ“空白のとき”を迎えます。いってみれば“燃え尽き症候群”の形。そのときを過ごして再び、やるのか、やらないか、の方向性が見えてきます。

寺川も同様にロンドン五輪後、競技から離れたといいます。2カ月、3カ月・・・例えばプロボクシング界でも、ケガや何かの出来事などで試合の現場から長期間、離れたとき、ブランク中に頭に浮かぶことは、リングのど真ん中で四苦八苦していたときには見えなかったものが、不思議に見えてきたりするのだそうです。

元世界王者の浜田剛史氏(帝拳プロモーション代表)が言いました。

〈引退した選手が、トレーナーなどを経験して、ボクシングを一度、外から見た後に復帰して成功するという例があります。つまり、自分以外は見えなかったときから、離れたことにより、周りがよく見えるようになって成長する、というケースですね〉

恐らく寺川も、それらを感じ取り、また、新しいことも見えてきて、ヨシ! という決意で現役続行、プールに戻ってきたことでしょう。であるからには、もちろん、鍛え直すべき箇所、強化すべき箇所、などもすっかり把握してのものです。

その結果が、4年ぶりの日本記録更新とあれば、ロンドン五輪からまた、ひと回りもふた回りも幅を広げたに違いない寺川を感じます。

そして・・・こうした寺川のような選手を、若い選手たちがどう見つめ、受け止め、何かを感じ取るのか、そのあたりも、競泳界だけに限らず、興味があるところです。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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