“逸材”育成の難しさ

真冬の寒さに戻った雨模様の3月27日、ボクシングの大橋ジム(大橋秀行会長=神奈川・横浜市神奈川区)に向かいました。

“怪物クン”井上尚弥(19)のプロ第3戦に向けての記者会見です。

井上は相模原青陵高(神奈川県)時代にアマチュア7冠を達成、鳴り物入りでプロに転向(大橋ジム入り)しました。

12年10月のプロデビュー戦(8回戦=48キロ契約)では、いきなり、ミニマム級のフィリピン王者クリソン・オマヤオ(フィリピン)に4回KO勝ち。今年1月の第2戦(ライトフライ級8回戦)でも、ライトフライ級のタイ王者ガオプラチャン・チューワッタナ(タイ)を左フック一閃、何と1回KOに仕留めてしまいました。

“恐るべき19歳!”との注目を集めて臨む第3戦は、4月16日(東京・後楽園ホール)に行われ、相手は日本ライト級1位の佐野友樹(松田)となりましたが、この試合、井上の注目度の高さを象徴するようにフジテレビ(系列)が、当日午後7時から2時間のゴールデンタイム枠を用意、異例の全国生中継することが決まったのです。

背広にネクタイ着用の硬い服装で会見に臨んだ井上は、しかし、これら破格の扱いを楽しむように「ワクワクしています。緊張感はありますが、いい緊張感にしたいと思います」と堂々、胸を張っていました。

会見の模様をちょっと振り返ってみましょう。

相手選びも苦慮せざるを得ない

-相手(佐野)については?
「映像を見ていますが、ラフでもなくトリッキーでもなく、やりやすいかなの・・・と」

-KOは狙う?
「まず、何もさせずに勝つ、という自分のボクシングをすることですが、流れの中でKOするチャンスがつくれればKOします。もちろん・・・その流れをつくりたい」

-トレーニングで強化したところは?
「下半身を主に鍛えました」

-第3戦への心構えは?
「自分の距離は常に意識していたいですね」

-(大橋会長へ)こうした破格の扱いに関しては?
「日本のボクシング界の(全体の)将来が懸かっている試合だと思っています。今は(真顔で)早く試合が終わってしまったら、テレビの残りの時間帯をどうしようか、とそれが心配ですね」

会見を終えてジムを出た後、記者仲間と遅い昼食をとりながら、こういう逸材の育て方は難しいだろうねェ、という話になりました。

アマチュア時代に7冠を獲得したり、元2階級制覇王者の粟生(あおう)隆寛(帝拳)のように高校6冠だったりした“アマチュア・エリート”は、当たり前のことですが、概して勝ち方を熟知しているものです。が、それは“かわす上手さ”だったり“さばく上手さ”だったり、正面からぶつかることを良しとしない上手さが、プロの世界では障害となるかもしれない日が、上に行けば行くほど、いつか来ることもありうる、ということは指摘できるでしょう。

井上は、今度の相手である佐野を「やりやすいかも・・・」としていましたが、では、頭からガンガン突っ込んできて井上の距離を殺しにかかる、たたき上げの選手との対戦も避けて通るわけには行かず、大橋会長にとっては、そのタイミングをどのあたりに持ってくるのか、という悩みのタネ? も起きてくることでしょう。

さらに-。友人のベテラン記者が言いました。

〈これだけ注目を集めてしまうと、何をやらせるか難しい。例えば井岡一翔(井岡)の持つプロ7戦目で世界王座奪取の最速記録を抜かせるにしても、先に日本でも公認されたWBOとかIBFに狙いをつけた“初ものづくし”ということも、重要な選択肢となるだろうからね〉

まったく! です。怪物クンを預かる大橋会長も大変ですね。まずは「4・16」の無事クリアが先決。これを見守ることにしましょう。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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