“枠外”の快挙を素直に称えたい

日本のプロボクシング組織は、今回の高山勝成(29=フリー)の快挙を、出来うる限りの厚遇でねぎらってあげてもらいたいと思いますね。

高山は3月30日(日本時間同31日)、敵地メキシコに乗り込んで“完全アウエー”の重圧がかかる中、王者マリオ・ロドリゲス(メキシコ)に判定勝ち、IBF世界ミニマム級王座を獲得しました。とともに過去、WBC世界ミニマム級王座(05年4月)、WBA世界ミニマム級王座(暫定=06年11月)も獲得しており、日本人選手としては初となる主要3団体制覇ともなりました。

高山がJBC(日本ボクシングコミッション)に引退届けを提出したのは09年11月のことでした。JBCが公認する日本のジムに所属せず、フリーのプロボクサーとして海外に活動の場を求めたものでしたが、そこに至る発端は07年4月、当時グリーンツダ・ジム所属のWBA世界ミニマム級暫定王者としてWBA世界同級正規王者・新井田豊(横浜光=引退)と王座統一戦を行ったときの結果にあったといっていいでしょう。

その試合は、両選手とも持てる力を出し尽くし、紙一重の際どい勝負となりました。結果は、1回にダウンを喫しながらも新井田が、115-113、114-115、114-113、の2-1で判定勝ちしました。

この判定に高山は激怒します。「ボクシングに失望した。引退するつもりだ。バカらしくてやっていられない!」。陣営のグリーンツダ・ジムも、審判団は試合を主宰した新井田陣営の横浜光側に傾いていた、とJBCに異議申し立てをすると、強硬姿勢を見せました。

体制側に望みたい柔軟な対応

ちなみにその白熱戦、スポニチ本紙の世界戦評論を受け持った元世界王者の浜田剛史氏(帝拳プロモーション代表)はこう評しています。

〈(略)私の採点は11回を終えて104-104のイーブン。激しい打ち合いとなった最終回は、ジャッジの2人が10-10をつけるほど微妙な展開となった。高山の手数による攻勢か、新井田のアッパーによる有効打か、私は後者を取った〉

まったく高山にとっては、踏んだり蹴ったりの出来事となったのは、どうにも納得のいかない判定に加えて、この試合のファイトマネーがグリーンツダ・ジムから一部しか支払われなかったことでした。この件はJBCも事情聴取にあたりましたが、当の高山は、当初の引退示唆を撤回、ジムを変わって(真正ジムへの移籍)再出発したものの、最後は「引退→海外での活動」という簡単ではない道を選択することになりました。

JBCは今年に入り、WBO(世界ボクシング機構)への加盟を決め、また4月1日付でIBF(国際ボクシング連盟)への加盟も正式に発表しました。これにより、これまでのWBA、WBCに加えて世界の主要4団体への加盟と幅を大きく広げたわけですが、こうした新しい動きを背景として、高山のような選手への扱いも慎重に協議されることが求められます。

現段階でプロボクサーが日本のリングで試合をするには、JBC公認のジムに所属し、JBCのライセンスを取得していなければなりません。

高山へのJBCの見解は、高山がライセンスの再交付を申し出れば、その扱いが協議されることになるだろう、としています。

ルールにのっとって、それは当然のことですが、高山のこれまでの道のりは、ルール内ではできなかったことでも
あります。

さまざまな要因があり、高山にはこうせざるを得ない仕方なさがあったとしても、これからのボクシング界、あるいは、自ら進んでこうした道に飛び込んでいく若者が現れるかも知れず、体制側には“新しい波”への柔軟な対応の仕方も必要なことかもしれません。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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