負けて見えてくるものは?

帝拳勢3選手が競演するプロボクシングのトリプル世界戦が4月8日夜、東京・両国国技館で開催され、足を運びました。

早い時間帯に両国駅前の喫茶店で記者仲間と雑談していると、隣のテーブルに座っていた2人のご婦人が話しかけてきました。今は東京在住の彼女たちは、いずれも、WBC世界フライ級王者・五十嵐俊幸(29=帝拳)にチャレンジする八重樫東(30=大橋)の故郷、岩手県出身なのだそうで「応援に来ました。岩手からもバスで大勢の人が来ていますよ」と、秋田県出身の五十嵐との「東北対決」に向けて、早くも“オバチャン・パワー”全開の様子でした。

その八重樫が勝ち、昨年6月、WBA世界ミニマム級王者としてWBC世界同級王者・井岡一翔(井岡)に挑んだ王座統一戦に敗れた悔しさを晴らし2階級制覇を達成。また、このところ、難敵を次々に撃破して勢いに乗るWBC世界バンタム級王者・山中慎介(30=帝拳)も、これまた難敵のマルコム・ツニャカオ(真正)を下して、価値あるV3を達成しました。

それぞれが内容のある勝負を繰り広げた中、私は三浦隆司(28=帝拳)の戴冠に“ドラマ性”を感じ、心の中で“(これから)頑張れよ!”とエールを送りました。

WBC世界スーパーフェザー級王者のガマリエル・ディアス(メキシコ)に挑んだ三浦は、王者を計4度ダウンさせ、9回TKOで快勝しました。

スポニチ本紙の世界戦評論でおなじみの元世界王者・浜田剛史氏(帝拳プロモーション代表)は、この三浦の勝利を「攻撃と防御がマッチした心技成長の勝利」と表現しました。

新王者が向かう先は内山への恩返し?

三浦の世界初挑戦(当時・横浜光)は11年1月のWBA世界スーパーフェザー級王者・内山高志(ワタナベ)戦でした。内山が対戦する予定だった暫定王者ホルヘ・ソリス(メキシコ)が体調不良のために対戦が流れ、急きょ、三浦におハチが回ってきた形となりました。

が、三浦は意地を見せました。3回に得意の左ストレートでダウンを奪います。しかし、回を追うごとに王者の反撃を許し、終わってみれば8回終了TKO負けとなってしまいました。

以来、2度目の世界挑戦。相手のディアスは昨年10月、 右攻勢で粟生隆寛(帝拳)から王座を奪っています。浜田氏が言いました。

〈要注意は「右」のみ。内山戦のままのディフェンスでは勝てません。いかに右を打たれずにこちらの左を叩き込めるか。それがポイントの試合でした〉

滑り出し、ディアスが顔だけでなく、ボディーにも右を放ち、優位に立ちました。が、三浦はその間、自分のパンチをどの段階で放てるか、タイミングをはかります。攻めと守りの一体化-。このあたりが、内山戦に負けたことから得た教訓、心技の成長だったのでしょう。

その通り、3回に左を当て始め、最初のダウンを奪います。気を緩めずに左、また左の攻勢。そして最後は9回のとどめ、左ストレートで奪った4度目のダウンで王者は、仰向けに倒れたまま動けない状態となりました。

内山に負けて教えられた自分の欠点(甘い防御)を克服して戴冠した新王者は、もう一度、内山に“恩返しをしたい!”と向かうのでしょうか。そうなれば、今度は対等の王者同士の統一戦となります。

面白い、などと言っていいものか、でも面白い。点と点が線で結ばれ、その線が“明暗”によって切れて散り、また結ばれる。リベンジ、勝負の世界の宿命・・・私は心の中でまた、三浦に“(これから)頑張れよ!”とつぶやいていました。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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