古代日本を偲ぶ大事な遺跡なのに・・・

茅ヶ崎市(神奈川県)は、私が住む藤沢市(同)からJR東海道本線で下って2駅目、約10分ほどの隣接する市です。

人気の「サザンオールスターズ」率いるミュージシャン・桑田佳祐の出身地だったり、俳優でマルチ・タレントの加山雄三が、この地の実家で過ごした時期があったり、また、プロボクシングの「ピストン堀口道場」(堀口昌信会長)や柔道の「小川直也道場」があったり、昨今の茅ヶ崎市は、文化・芸能、スポーツなどの各面で「茅ヶ崎発」を元気に発信し続けています。

そんな茅ヶ崎市にまた一つ、全国区の大きな話題が加わりました。「下寺尾官衙(かんが=役所)遺跡群」の出土です。

4月13日午後、市民活動団体「環境まちづくり湘南」の「もっと知りたい下寺尾官衙遺跡群フォーラム」実行委員会(岩田實会長)が主催する講演会が、同市新栄町の勤労市民会館で開催され、茅ヶ崎市在住の例の友人Oの誘いがあり、出向きました。

会場の定員が120人とあり、私たちは、まあ、満員になることはないだろう、とタカをくくり、茅ヶ崎駅ビルのレストランでノンビリと昼食を摂った後、午後2時の開演時間近に到着したのですが、いやはや、予想を裏切る凄い混雑ぶりとなりました。

市民をはじめ、私のような市外からの聴衆、大勢の考古学ファンらが集まり、定員オーバーの盛況ぶりです。入場できなくなった人たちは、次はもっと大きな会場でやってくれ、と苦言を呈するほどでした。

この「下寺尾官衙遺跡群」発見の経緯は、まず00年、市教育委員会が市内下寺尾エリアに古代寺院である「七堂伽藍」跡を確認、調査を開始したことに始まります。とともに県立茅ヶ崎北陵高校(市内下寺尾)のグラウンドで行っていた発掘調査で「高座(たかくら)郡衙」跡が発見されるに至りました。

極めて興味深い出来事ですが、私自身、このジャンルに関しては、まったくのシロウトであり、会場で配布された資料や手持ちの日本史書などを引っ張り出して懸命に調べてみました。

遅々として進まない県&国の対応

時代背景は7世紀後半から8世紀前半ころ(飛鳥→奈良時代)です。古代国家は、天皇を中心とする中央集権国家を形成し、律令政治のもと、地方支配のシステムが整えられていきます。

今の神奈川県域は当時、大化の改新(645年)により「東部(ほぼ川崎市と横浜市)は武蔵国の一部(3郡)に、中西部は相模国(8郡)に改められる。相模国の8郡は、足柄上郡、足柄下郡、余綾郡、大住郡、愛甲郡、高座郡(相模川東岸)、鎌倉郡、御浦郡-に編成された」(山本博文監修「あなたの知らない神奈川県の歴史」から)

このそれぞれの郡には、支配拠点として「郡家(郡衙)」が置かれ、地域の有力豪族が「郡司」に任命されて支配にあたりました。(講演会配布資料から)

発掘された「下寺尾官衙遺跡群」は、高座郡の支配拠点である高座郡家跡と郡司にあたる有力豪族たちが建設したと考えられる七堂伽藍跡を中核遺跡として、川津遺構(古代の津=船着き場)や祭祀場までもが明らかになりました。これだけそろった遺跡は、全国で発掘された遺跡の中でもまれであり、それだけ考古学上の重要性が位置づけられる、とされました。

が、講演の2番手で登場した大東文化大准教授・宮瀧交二氏の「評価のされ方」に対しては、本当に納得のいかないものを感じました。02年の遺跡発見後、神奈川県(生涯学習文化財課)は、国指定史跡に値するものとの評価を持ち得ていたはずながら、この時点で北陵高の移転方針などを考慮しないままでいたそうです。

結果、この10年間、この貴重な遺跡は、国&県から放置されたままの状態が続いているとのことです。また、北陵高は06年から仮設校舎の使用を開始しており、現在まで8年間も仮設校舎での学習を強いられるという異例の事態を招いていることなどは、本来あり得ないこと、と宮瀧氏は怒りを抑えて報告していました。

講演者の1人である東海大講師・田尾誠敏氏は、この大事な遺跡を残し、多くの人々に知ってもらうため、史跡公園を設立してテーマパークを推進させる方法~遺跡の保存、学びの場、地域のコミュニティの活発化、地域防災の拠点など~を提案していました。

行政側にどんなネックがあるのか分かりませんが、誰が見ても、このまま埋もれさせてしまうものではなく、何としてでも後世に残し、伝えるべきものでしょう。

茅ヶ崎市のウリに「古代遺跡群」が加われば、県外者の観光誘致にもつながるだろうに・・・と思います。

ちなみに今、この遺跡跡に行ってみても何もなく、ただ七堂伽藍跡の碑が立てられているだけだそうです。これも何やら、お粗末極まりない、というか・・・ですね。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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