感動的な観客のフェアプレー精神

スポーツの試合では観客もまた、最高の舞台をつくり上げる重要なプレーヤーである、とはよく言われることです。

最高の舞台から得られるものが「感動」なら、この出来事は、間違いなく観客がつくり出したものでした。大型連休最後の日となった5月6日のサッカーJ1リーグ、大宮がホームに広島を迎え撃った一戦です。

この時点で大宮には、連続無敗記録20とクラブ連勝記録6の更新が懸かっており、気合が入る試合となっていました。

結果は、大宮が2-1で勝ち、記録を更新したのですが、試合途中で大宮のFM富山貴光(22)と広島のGK増田卓也(23)が激しく接触、倒れた際にともに地面に頭部を打ちつけるなどして起き上がれないアクシデントが起きました。

直後の増田は、意識が飛んでおり、ピッチから救急車で病院に緊急搬送されるなど、成り行きが心配される事態となりました。

この状況下で期せずして起きたのが、大宮サポーターによる“敵GK”増田への熱いコールだったのです。

そしてまた、広島イレブンも試合後、大宮サポーターが埋め尽くしたスタンドの前に整列、頭を下げて感謝の意を表すことを忘れませんでした。

私は敵・味方を超えた、こういうシーンに滅法弱く、最近は話を聞くだけでも涙腺が刺激されてしまうのですが、この感動的な出来事は、テレビのスポーツニュースでも逃さずに伝えられており、あらためてスポーツの原点でもある“フェアプレーのすがすがしさ”を味わわせてもらいました。

胸を打たれる敵・味方を超えた激励コール

例えばMLBでも以前、ヤンキース時代の松井秀喜が手首の故障から復帰したときとか、マリナーズ時代のイチローが最多安打を記録してシーズンを終えたときとか、そのたびにスタンドを埋めた観客は、惜しみのない拍手を送りました。

不屈の闘魂、果敢なチャレンジ、快挙の達成・・・など、そういうものに対するファンの称賛、敬意に敵・味方など関係ないことが示されるとき、本当に胸を打たれる思いがします。

概して日本人は、どこかテレもあってか、そうした表現を苦手とする傾向にあるようです。

古い話になりますが、この種のテーマで原稿を書くとき、よく使わせてもらう出来事として、ゴルフの「ナイス・ボギー事件」があります。

記憶に残している方も多いと思いますが、1984年に広島CC八本松コースで開催されたUSLPGA公認「マツダジャパンクラシック」(名称は当時)での出来事です。

岡本綾子が首位のジャン・スチーブンソン(オーストラリア)を2打差で追う展開で迎えた最終日のことでした。ギャラリーの誰もが地元の岡本を応援する異様な雰囲気の中、パーパットを外したスチーブンソンに対してギャラリーから「ナイス・ボギー」の声が飛んでしまったのです。

このとき、泣いて抗議した岡本でしたが、後に出版した自著「メモリアル・グリーン」の中で「私の人生に深い傷痕を残す最大級の事件」と記述していました。

身びいきは、どこの国にもあることでしょう。そしてファンの思いは、ともすれば“贔屓(ひいき)の引き倒し”にエスカレートしてしまうケースも見られます。

が、マナーはマナーとして、しっかりと身につけていてもらいたいと思います。今回、大宮サポーターが見せてくれたフェアプレー精神は、勝負を超えたところに燦然(さんぜん)と輝く勲章! のように思えました。

ちなみに富山、増田の両選手とも、運ばれた病院での精密検査の結果、大きな異状はなく、無事に退院したとのことでした。

本当によかったですね。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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