「高齢者の真剣勝負」に脱帽!

冒険家でプロスキーヤーの三浦雄一郎氏(1932年=昭7=10月12日生まれ)が、史上最高齢となる80歳7カ月で世界最高峰のエベレスト(8848メートル)の登頂に成功した、との朗報がもたらされました。

三浦氏とエベレストは、1970年5月に敢行したスキーでの滑降、03年5月の70歳7カ月での登頂、さらに08年5月の75歳7カ月での登頂、が思い出されますが、今回の80歳7カ月での登頂成功は、体づくりやそれを支える精神面のあり方で、勇気とともに「高齢化社会にあるべきもの」を提起した快挙だった、と受け止めました。

三浦氏が70歳でエベレスト登頂に成功したとき、それから2年後の05年6月6日、ヨットによる単独無寄港世界一周にチャレンジしていた斉藤実氏のヨット「酒呑童子Ⅱ」が、出発地点の油壺シーボニア・マリーナ(神奈川・三浦市)沖に帰ってきた、とのニュースが報じられました。

覚えている方も多いと思いますが、このとき、斉藤氏は71歳、ヨットの単独無寄港世界一周の世界最高齢記録を樹立した快挙でした。

04年10月16日に出発して234日目の帰港となった斉藤氏に“凄さ”を感じたのは、180日で回ってこれるはず、とした目標を大幅に上回り「230日以上もかかってしまった」という悔しさを真っ先に口にしたからでした。

そこに、たとえ“遊び”ではあっても、自分に課した課題においては、遊びを超えた真剣勝負だったことが感じられます。「自律」とは「自分で自分の行為を規制すること。外部からの拘束から脱して自身の立てた規範に従って行動すること」(広辞苑)ですが、高齢者が真剣勝負に挑む際の原点が、この「自律」なのです。

「自律」に裏打ちされた行動が成功を生む

ヨットのBOC世界一周シングルハンド(単独)レースで優勝するなど数々の外洋帆走レースで活躍してきた「おけら」の多田雄幸氏は以前、ある専門誌のインタビューで印象深い言葉を口にしていました。

「世の中で一番怖いものは?」の問に「平静さを失う自分が一番怖い」と答え、こう続けます。

〈シングルハンドっていうのは、何しろ1人だから、やることは皆、自分の前にある。10の仕事があるとき、10人のクルーがいれば、1人一つでいいものを、1人なら全部1人でやらなきゃならない。一度でいっぺんに10人分をやるわけにはいかないから、一つずつやるんだけど、今どれを一番最初に片付けるべきか、その判断力が大事なんだね〉

斉藤氏が選んだ「東回り」は、大波や強風など難所が多い、と言われるコースでした。長期間にわたる外洋帆走に故障・修理はつきものです。多田氏が言う、10の故障・要修理箇所が一度に来たとき、ヨットを少しでも前に走らせるために修理すべき優先順位の判断は、本当に難しいところでしょう。

それによる遅れが斉藤さんの悔しさを生んでいたのですが、しかし、それは、誰のせいでもなくすべて、自分自身の問題であるところに高齢者の自律、厳しい内面がのぞかれます。

話が長々とヨットに及んでしまいましたが、海洋にしろ山岳にしろ、根底に流れるものは同じでしょう。

三浦氏の快挙は、登頂に付き添った次男の豪太さんをはじめ、家族、多くの仲間たちに支えられてのものでした。
が、前に進むのも、後ろに下がるのも、最後に判断を下すのは三浦氏であり、それは、人のためだとか、世間体があるから、などをすべて捨て去ったものでなければ、即危険に陥る可能性も出てきてしまいます。

昨今、熟年グループの登山が人気となっていますが、一方、遭難事故も多く起きて、社会現象化されています。

三浦氏の快挙は、また、こうしたブームに拍車をかけそうですが、山に向かう人々は、人任せの山行ではなく、常に「高齢者の真剣勝負」を自分に言い聞かせながら行動してもらいたいと思いますね。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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