IOC理事会の分かりにくさ

“騒動”に関する一連の報道を傍観していて思ったことは、原因は分かっていても、そうなった理由が分からないための“不可解”でした。

現地時間5月29日、ロシアのサンクトペテルブルグで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)理事会で、五輪競技除外危機にあったレスリングが、野球&ソフトボール、スカッシュとともに望みをつないだ出来事です。

同理事会では、2020年夏季五輪で実施する追加1競技を、8競技(レスリング、野球&ソフトボール、空手、スカッシュ、ローラースポーツ、ウエークボード、武術、スポーツクライミング)の中から、3競技に絞り込む審議が行われ、その結果、レスリング、野球&ソフトボール、スカッシュの3競技が候補として残り、9月に行われるIOC総会(アルゼンチン・ブエノスアイレス)で最後の1枠を争うことになりました。

20年夏季五輪でレスリングが除外される可能性が出てきた、とのニュースが舞い込んだのは、今年2月12日のこと、スイス・ローザンヌで開かれたIOC理事会の決定事項として、でした。

日本のレスリングは“お家芸”として過去、五輪を含む数々の国際大会で活躍してきており、特に女子では“霊長類最強”の吉田沙保里(30=ALSOK)が世界をリードしており、この決定には、日本はもちろん世界のレスリング強国を震撼とさせたものでした。

ローザンヌの理事会後、IOCは投票結果を公表しましたが、15人の理事会メンバーのうち、IOCジャック・ロゲ会長(ベルギー)を除く14人が参加した投票では、レスリングには最多の票が投じられ、文句なし? の除外候補とされました。

除外候補トップから残留候補トップの「?」

このとき、レスリングという古代五輪からの伝統的競技の除外には、IOCの内部からも「?」の声が出たとのことでした。つまり、騒動の「原因」は、ここから起こりましたが、除外の「理由」が、よく分からない、一部にはレスリング強国への感情的なものから? などともささやかれ、関係者の誰にもモヤモヤが残ったようです。

そのモヤモヤに拍車をかけたのが、除外候補から一転、今回の投票で残留候補になったことでしょう。

投票はローザンヌのときと同様、ロゲ会長を除く14人の理事会メンバー(ちなみに同じメンバーだったそうです)で行われ、何と最初の投票でレスリングが過半数の8票を獲得、早々に残留候補を決めてしまったとのことでした。

真っ先に除外候補となった2月から3カ月-。もちろん、その間、日本レスリング協会・福田富昭会長、吉田ら関係者のロビー活動、さらにルール改正に積極的に取り組む姿勢などをアピール、その結果が実ったという、涙ぐましい見方もあるでしょう。

が、ダントツの除外候補が、わずか3カ月後にダントツの残留候補になったなら、最初から騒動など起こすなよ、という腹立たしさも残ろうというものです。

最終決定は、9月のIOC総会で下されるわけで、まだ、レスリング関係者の楽観視は禁物ですが、この騒動を傍観している限り、何かIOCの、横暴というか、勝手というか、定見のなさというか、五輪採用を切り札に各種競技をもてあそんでいるような気がしてなりません。

もし、最終決定でレスリングが最後の1枠を得た際は、2月から9月までの間に何が起こり、どうしてこうなったのか、どうしてこう変わったのか、をIOCは、誰もが納得できるよう、説明する必要があるのではないでしょうか。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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