核心をついた本田発言

サッカー日本代表のエース・MF本田圭佑(26=CSKAモスクワ)が、チーム全員が勢ぞろいした“ザック・ジャパン”の公式会見の場でぶち上げた「個の成長」論には、大いに共感を覚えました。

2014年のW杯ブラジル大会出場を決めたアジア地区最終予選、対オーストラリア戦(6月4日=埼玉スタジアム)の激闘から一夜明けた会見での発言です。

W杯切符を懸けたオーストラリア戦では、後半37分に失点を喫し、暗雲が漂った中、本田は同46分、自らが得た相手反則のPKを決め、窮地脱出の引き分けに持ち込んだ立役者となったこともあり、会見では夢舞台に向けての課題を自分なりに口にしておきたかったのでしょう。

本田は、チームメートの名前を先輩・後輩関係なしに挙げ、さらなる高みを目指すためのテーマを掲げ、指示する、という思い切ったことをやってのけました。それらの賛否は別にして“まったくその通り!”と思わず、胸中で拍手を送ったことは「個の戦い」の重要性に触れたことでした。

本田は「(ゴール前の攻防など)結局、最後は、個の力で試合が決まることがほとんどだと思う。自分が前に出るという強い気持ちを持っているのが日本代表なのだから、それを磨いて個の能力をアップさせてほしい」と言いました。

この言葉で思い出されるのが、そんなに昔の話ではなく、ついこの間まで、といっていいほど、日本代表に痛烈に浴びせられていた「決定力不足!」の“罵声”でした。

当時の日本代表は、とにかく点が取れず、めったなことでは怒らないサポーターも、さすがに業を煮やすありさまでした。

ゴール前で絶対に欠かせない個人技勝負

ゴール前になだれ込みます。巧みにパスを回し、さあシュート! と誰もが思ったときに彼らは、何と失敗したときの責任を回避したいのか? と疑われても仕方のないほど消極的に、まだボールを回してしまっています。最後は逸機-こんなことが続けられていれば、日本代表への不信感は募るばかり、日に日にファンの嘆きは高まるばかり、のありさまでした。

日本のサッカーの最大の長所が「組織力」にあることは間違いありません。ときを経て今、日本の組織力は、相当に高められ、完成度の高いものとなりました。が、一方、チームワークは、ともすれば個を捨て、滅私奉公的にボールを生かす、ということにつながります。個と組織力は、相反するものでしょう。

点が取れるようになり、間違いなく強くなった日本代表を感じていても、本田の発言を改めて聞くと、ああ、やはり、決定力不足に関する危惧は、まだそれぞれの気持ちの中にくすぶっているのだな、と感じます。

10人で攻め込んだとしても、ゴール前の攻防は、個人の勝負でしょう。相手GKとの1対1の勝負、あるいはDF陣をかわして攻め込む闘争心は、個人の力量以外の何ものでもないと思います。

日本代表という一線級の選手たちは、いまさら本田に言われなくとも、それらの課題は承知していることでしょう。が、承知はしていてもつい、と流されてしまうことも確かです。

その意味で本田発言が、起爆剤になってくれれば、と思います。W杯ブラジル大会への出場を決めたことは、日本代表にとってスタート地点に立っただけのことです。

当面、正念場となるのが6月15日(日本時間同16日)に開幕する「コンフェデレーションズ杯」でしょう。1次リークではブラジル、イタリア、メキシコ、と世界の強豪と激突しますが、こうした戦いにこそ欠かせない、ゴール前の個人技勝負で、果たして日本代表陣は新境地を見せられるでしょうか。

本田発言に期待したいところです。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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