富士山の世界文化遺産登録に思うこと

江の島が近い私の家(神奈川・藤沢市)のベランダからは、遥か西の方角に「富士山」の雄姿を眺めることができます。

梅雨のこの時期でも、雨上がりの晴れ間、空気が洗われて澄んだときなどに見せるくっきりとした姿、あるいは夕刻、夕焼けの中に神々しくそびえるグレーの姿、などは、やはり“日本の象徴”を思わせ、とともに“ニッポンの山”としての親しみやすさ、身近さをも感じさせます。

冒頭、その富士山を、思わずカッコで括ってしまったのは、これまで身近にあった富士山が、ここへきて、なにやら遠くに行ってしまったような感じ、距離ができてしまったように感じられたからです。

下界に何が起きようと、どう評価されようと、われ関せず! 富士山の雄々しさに変わりがあるはずもないのですが、こうして距離を感じてしまうのは何故なのでしょうか。

世界文化遺産に「登録」するよう「勧告」されていた富士山(山梨県・静岡県=3776メートル)を、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産委員会が、正式に「登録」を決めました。

と同時にイコモス(国際記念物遺跡会議)が除外を求めていた景勝地「三保松原」(静岡市)も含まれることになり、この一連の世界遺産への登録は、当該各県の関係者のみならず、日本中が喜びに包まれたようです。

世界遺産の定義は、世界遺産条約(世界の文化遺産、及び自然遺産の保護に関する条約=1972年にユネスコで採択)に基づき、世界遺産リストに登録された「人類が共有すべき“顕著な普遍的価値”を持つ物件」とされています。

環境保護こそ最優先課題だが・・・

富士山は当初、世界自然遺産への登録を目指しましたが、ゴミの問題などで挫折したことは周知のことです。今回の世界文化遺産への登録は、山岳信仰の対象、浮世絵などの芸術作品に描かれた日本の象徴、として(登録名称は「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」)評価を得たものでした。

さて・・・です。何ごとも歓喜は一瞬、すべては“これから”です。つまり「人類が共有すべき“顕著な普遍的価値”を持つ物件」にふさわしい環境を保護できるかの問題-。

かつてゴミの問題で世界自然遺産への登録申請をあきらめた富士山には、今回の悲願達成で世界中から人が集まることは目に見えていることでしょう。観光客の増加、それにともなうゴミ問題の再燃など環境保護への対策はどうなのか、さらにこれを機に突っ走り始めるだろう、たくましい“商魂”の数々・・・。

そうです。下界では、相容れることはまず、ないだろう「環境の保護と商魂」を、どう両立させ、折り合いをつけるか、に頭を悩ませる日々が、これから延々と続くわけです。

私が、富士山に感じてしまう距離は、このあたりから、つまり“下界の狂騒曲”を案じてしまうことから来ていると思われます。実際、登録の決定を報じた日(6月23日付)の新聞社会面では、激増するだろう登山者を抑制するための「入山料(額の高低)」問題に早くも焦点を当てていました。

「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」という世界文化遺産への登録名称からは、どうにも、かけ離れた生々しさですが、こうしたことは、良しにつけ悪しきにつけ、これからどんどん起きてくることでしょう。

願わくば、富士山はただひたすら、富士山であってほしい、と思います。それは、この地を訪れる人々、それを迎える人々の「マナーの徹底」がすべてでしょう。なぜ、かつての世界自然遺産登録への道が阻まれたか、を今だからこそ、再考すべきでしょう。

そして・・・くれぐれも行政による、つまらない規制などにより、とっつきにくい山にしてしまわないよう、それだけを願いたいもの、と思います。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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