危険な初戦が生み出すものは何か?

プロ転向したロンドン五輪ボクシングのミドル級金メダリスト・村田諒太(27=三迫)の、注目のデビュー戦が決まりました。

相手は東洋太平洋(OPBF)ミドル級王者で日本スーパーウエルター級王者の柴田明雄(31=ワタナベ)で、試合は体重73キロ契約の6回戦で行われます。(8月25日=東京・有明コロシアム

エッ! ホント? この対戦が発表(7月3日)されたとき、私は正直、ビックリしてしまいました。村田のプロデビュー戦の相手選びは、確かに難しく、難航するだろうことは想定内のことでした。

そうです。おざなりの相手では周りが納得しないだろうし、かといって一線級過ぎては、村田に懸かるリスクが大きくなるばかり、となってしまうからです。

だから“そこそこ”の相手を選ぶことが妥当なところとなるわけですが、この“そこそこ”は、まさに「言うは易く、行うは難し」であり、そんな中、打診は何と、03年8月にプロデビューした10年選手、OPBFスーパーウエルター&ミドルの2階級制覇王者、という一線級過ぎる選手に向けられたのです。

鳴り物入りでプロの世界に入ってきた選手たちのデビュー戦などというものは、概して“楽な”相手が多く、初戦は“名刺代わり”の勝利を挙げて周囲を賑わわせ、本当の勝負は2戦目から、というのが普通でしょう。

ビックリしたのは、打診を受けた柴田のOK! で、このカードが躊躇(ちゅうちょ)なく、即決したことでした。もちろん試合は「73キロ契約」の条件付きで行われるため、柴田が持つタイトル、日本スーパーウエルター級(同級リミット69・85キロ)、OPBFミドル級(同72・57キロ)に、結果による変動はありません。

歴戦のプロ戦士の迎撃姿勢がいい! 

とはいえ、柴田は、歴戦のプロ戦士として負けるわけには行かないだろうし、村田にしても、それは柴田以上のもの、つまり、五輪金メダルとか、ボブ・アラム氏が主宰する米大手プロモーション会社「トップランク」社との契約とか、背負うものは、ある意味、柴田の比ではないものがあり、負けたたときリスクは、計り知れないものが生じてしまうのではないかと思います。

それでも“やる!”のが、この世界に入ってきたファィターたちの宿命でしょう。そして見逃すわけにはいかないのが、2人の間に流れる“敬意”です。

村田が言います。

〈いきなり、こんな強い選手とやらせてもらえるのは凄く光栄です。ボクは挑戦者です。挑戦する立場として楽しみが大きい。全力で戦わせてもらいます〉

昨年5月に行った村田とのスパーリングで「ボコボコニされた」という柴田はこう言いました。

〈金メダリストと試合ができるなんて光栄です。一年経って“強くなったな”と思ってもらえるよう頑張りたい〉

コブシを交える男たちの、こうした相手への敬意、謙虚な気持ちは、見る側にしても心地良いものです。ともに敬意があるから、喧嘩腰でない白熱の試合が繰り広げられ、それはそのまま、観客に伝わってきます。

“おざなり”な対戦とはならなかった村田のプロデビュー戦は、果たしてどんな結果をもたらすのでしょうか。それはまた、その後にどんな影響を与えていくのでしょうか。

リスクを承知の対戦が、生み出すものに注目したいものです。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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