“西岡後継”-神の左への期待

私の知人にボクシング大好きの御夫人がいます。

どう好きか、とその度合いを具体的に言うと、例えばWOWOWの「エキサイトマッチ」で日曜日午前11時から、スーパーファイトが生中継されるときなど、テーブルの上にビールとつまみ、さらには午後2時までかじりつくため、空腹に備えた昼食も用意し、ジックリと観戦、御主人ともども、テレビの前で評論合戦が熱く展開される、とのことでした。

そんな彼女の、最近のお気に入りの選手は、WBC世界バンタム級王者・山中慎介(30=帝拳)なのだそうです。

今年4月8日、東京・両国国技館で行われた同級1位のマルコム・ツニャカオ(真正=フィリピン)相手のV3戦で山中は、3回に2度のダウンを奪い、最終12回にとどめの左ストレートを叩き込み、TKO勝利で王座を死守しました。

この勝ち方に彼女は惚れ込んでしまったようで「山中選手は凄いねェ。序盤にダウンを奪っても手を抜かず、最後に倒してしまうところが凄い。ファンは皆、それを期待しているんだものね。リング下の柔、リング上の剛、にぞっこんです」と、夢見る“少女の顔?”になってしまいました。

さて、その日から4カ月後。山中のV4戦が8月12日(東京・大田区体育館)に決まりました。相手は同級7位のホセ・ニエベス(32=プエルトリコ)です。

山中は11年11月、クリスチャン・エスキベル(メキシコ)との王座決定戦に勝ち、WBC世界バンタム級王者となりました。以降、12年4月のV1戦(ビック・ダルチニャン=オーストラリア)、同年11月のV2戦(トマス・ロハス=メキシコ)、13年4月のV3戦(マルコム・ツニャカオ)と3度の防衛戦の相手は、すべて世界王者経験者ばかりの難敵で話題となりました。

8月苦手説が気になるが・・・

これに対し山中が「ただ防衛を重ねるのではなく、誰と戦って防衛したか、のほうを重視したい」と語ったことも“男気”が伝わる頼もしさでした。

こうした言動の伏線は、元WBC世界スーパーバンタム級王者・西岡利晃(帝拳=引退)の存在と“西岡以後”のボクシング界を意識してのものにあるのでは? と感じます。

“神の左”と言われる必殺の左を持つ山中は、やはり左で偉業を築いた西岡の後継者とも言われています。

4度の世界挑戦に失敗した西岡は、5度目のチャレンジでやっとベルトを獲得した、という苦闘の持ち主ですが、王座奪取後の西岡がしたことは、メキシコでの防衛戦(V2戦=ジョニー・ゴンザレス)、本場ラスベガスでの防衛戦(V7戦=ラファエル・マルケス)を経て12年10月のノニト・ドネア戦のスーパーファイトにたどりつきました。

帝拳と西岡が、これまでの国内ボクシング界では“夢”とされた出来事を次々に実現させ、既成を打破してきたことは、ボクシング新時代の構築と言っていいでしょう。が、もっとも肝心なことは、これを西岡だけで終わらせてしまうのか、西岡以降を誰が受け継いでいくのか、ということです。

その意味で西岡のドネア戦直後、12年11月の山中のV2戦勝利(7回KO勝ち)は「西岡後継」に名乗りを挙げた一戦だったと言えるのではないでしょうか。

山中が8月に迎えるV4戦は、重ねた防衛戦の中で初めて、下位ランク相手の試合となります。とはいえ気が抜けないデータとして、過去2回行っている8月の試合は、1引き分けと1判定勝ち(2-1の辛勝)という結果があり、夏の試合に苦戦を強いられていることです。

まあ、そのころの山中と今の山中では「雲泥の差でしょ!」と例の御婦人の声が聞こえてきそうです。山中はV4戦もまた、テレビの前で声援を送る、ボクシング好きの御夫人たちを狂喜させる試合を、きっと見せてくれることでしょう。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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