待てば海路の日和あり

携帯電話を含むモバイル端末の飛躍的な普及・浸透により、かつて頻繁(ひんぱん)にあった「待ち合わせ」どきのトラブルが激減しました。しかし、時おり、こんなこともまだ起こります。

某月某日のことです。知人と某所で待ち合わせ、約束の時間に姿を見せなかったため、5分を経過したところで携帯電話に手が出ました。

が、何度掛けても「ただいま電話に・・・」のコールばかりでつながりません。思えばこのテの出来事でイライラするのは久しぶりのことでもありました。

こりゃ、相手の連絡を待つしかないな、と近くの喫茶店で待機することにし、30分ほどが経過したころでしょうか、やっと公衆電話から電話が掛かってきました。

ようやく会えて話を聞くと、知人は携帯電話を家に忘れて外出し、約束の時間に遅れたため、私に連絡しようとしたが電話番号がわからず、自宅に電話して、着信履歴だらけの置き忘れた携帯電話から探し出してもらい、公衆電話から掛けたのだ、とのことでした。

こういう行き違いは、以前は当たり前のように起こり、たいてい皆、それぞれが、待つ時間に対しての許容範囲というものを持っており、まあ、30分は長過ぎるでしょうが、多少の遅れは“やあやあ”で済んでしまっていたものでした。

が、人の心理は不思議なものです。こうして携帯電話を身につけて外出することが当たり前の時代となり、何かが起きても、連絡がすぐ取れて、今いる場所がすぐ分かる、という安心感が頭の中にあると、連絡が取れなくなった状況が続くとイラつき、妙にとんがってしまいます。

私もこのとき、知人が自分の不注意を謝罪しているのについ、きつい言葉を口にしてしまっていました。

慌てず騒がず、イラつかず・・・でいたい

さまざまな面でさまざまな便利がある分、今の時代に生きる人たちは、自分を我慢させる意志が薄らいでいるのではないかと思います。我慢すること、の中でも“待つ忍耐”は結構、セルフ・コントロールを必要とします。

そう考えるとき、プロ・スポーツ選手たちが、さまざまな場面で見せる「忍耐の形」は、ある意味、一線級選手の条件なのではないか、と思ってしまいます。

例えば、MLBのヤンキースで活躍する黒田博樹投手(38)は、7月12日(日本時間同13日)のツインズ戦で、降雨のため1時間13分の中断の後、自ら続投を志願してマウンドに上がり、勝利投手になりました。

天候を恨んでみても仕方ありませんが、待つということは、その間に戦意をそがれたり、あるいは緊張感を途切れさせたり、次も投げるのだ! というモチベーションを持続させることは、並大抵のことではないと思います。

「天気とケンカは出来ません」とばかり、平然と達観の域に入ってしまうのが、女子プロゴルファーの宮里藍(28)です。米国のツアーは、突然の雷雨などで中断が繰り返されたり、選手にとっては、集中力の維持などの問題で厳しい状況を強いられることが多いものです。

例えば、私たちダッファー仲間の月イチ・ゴルフでも、前が詰まってしばらく待たされた後のショットは、いいものが出たためしがありません。

それが・・・1時間後、あるいはそれ以上、待機した後の再開で、何ごともなかったかのように前に進める意志の強さは、一線級のプロならではのものでしょう。

野球にしてもゴルフにしても、米国で頑張る面々には、天候の激変や移動の際にトラブルがあってバタついても「それを含めてプロの試合」という腹の据え方があります。

〈待てば海路の日和(ひより)あり〉

それを見習って日々、つまらないことにイラ立たず、慌てず焦らず、平然と「船出に良い天気を待つ」心境でいたいものだ、と自戒をこめて思うのですが・・・。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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