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人と自然の向き合い方

連日、暑い日が続き、夏真っ盛りといったところですが、この季節になると例年、海や山での事故が多く聞かれるようになります。海の遭難事故では、夏休みを利用した釣りなどプレジャーボートでの家族の楽しみの中で子供たちが転落して行方不明、死亡が確認されたり・・・などと悲惨なケースが多く、そういう類のニュースに接するたびに、ああ、またか・・・と気持ちが重くなります。

特に最近ブームと言われる中高年者による登山も遭難事故を頻繁(ひんぱん)に起こしており、人気に便乗した旅行会社のツアーも多くなって気軽に山行ができるようになった中、山に向かう心構えとか装備などの準備面に問題はなかったのか、など、自然と向き合うにあたっての“個人責任”面が社会的に指摘されています。

繰り返される遭難事故

昨年夏に登山ツアーで北海道・大雪山系に出かけた中高年グループが起こした遭難、死者を10人もの多くを出した出来ごとは、夏山でも天候の急変により冬並みに一変する自然の脅威に対し、いかにも気軽に出かける彼らに対して警鐘を鳴らしたものでした。が、依然として似たような事故は繰り返され、昨8月3日付の新聞紙面でも、北海道・日高山脈ヌカピラ岳で中高年のツアー客とガイドの計12人が身動きがとれなくなり、救助のヘリが出動したと、相変わらずの事故が報じられていました。

これは雪のない夏ではありませんでしたが、昨年12月に元F1レーサーの片山右京さんが厳冬期の富士登山で遭難事故を起こし、2人のパートナーを亡くしたとき、経験度ではプロ級だった片山さんたちでもこういうことが起きる自然の怖さ、特に冬の富士山で言うなら、人などとても太刀打ちできない突風の恐怖を知るにつけ、あらためて「人と自然」との立ち向かい方を再考させられたものでした。

私自身の経験を言うと1980年代後半、当時行われていたヨットの外洋帆走レース「ジャパン~グアム・ヨットレース」(現在は廃止された)に取材を兼ねて乗り込んだことがありました。このレースは神奈川県三浦市の小網代沖を年末にスタートして太平洋上(硫黄島の近海あたり)で新年を迎え、正月早々にグアム島のアプラ・ハーバーにフィニッシュする、延々2500キロを早いフネで約1週間を要する長距離レースでした。

自然に容赦はない

私がフネに乗り込むにあたり、スキッパー(艇長)から口を酸っぱくして言われたことは「危険海域では安全第一」ということでした。このレースの危険海域は、海流が不規則に交差する日本近海にあり、八丈島を過ぎるまでの厳冬期の、特に夜中の日本の海は危険極まりなく、事実、このあたりで無理をしてフネを壊したり、遭難したりする例は多くありました。ビッグレースが行われるからといって自然がそれに遠慮することなどあるはずもなく、外洋帆走に関しては経験豊富で自信を持つ、このスキッパーでさえ、心得るべきことは“自然との調和”と謙虚そのもの。「危険海域でレースはしない」という、臆病なほどの慎重さだったのです。

後日談として私は「なぜ、乗ったのか?」とよく、聞かれました。

まあ、理由はいろいろとあったのですが、やはり、根本にあったことは、ヨットという小さなフネの中でスキッパーを頂点とする複数のクルーたちは、いったい何を考え、何をしながら、フネを休むことなく走らせているのか、ということへの興味。つまり、一般的にはあまり知られていないことを知りたいという、記者としての欲があったと思います。

その意味で先に埼玉・秩父山中で起きた日本テレビの記者&カメラマンの遭難死事故は身につまされます。2人は事故の救済に向かった防災ヘリコプターが墜落するという二次災害の取材に向かった際に事故を起こしました。もちろん自然に対する認識の甘さなど、起こしたことに対する批判は多くあることでしょう。が、一方、取材を遂行するための無理、は、私にはとても批判することはできないのです。

ただ言えることは、中高年層のレジャー登山にしても、プロ級の極める登山にしても、あるいは事故現場の取材という社会的使命を帯びた登山にしても、もちろん海洋をも含めて、自然は人の事情などにはおかまいなく、あるときは容赦なく非情だということです。

それは私たちは常に認識しておかなければならないことでしょう。

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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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