神を超えた!  “神の左”

“神の左”も、これだけの威力を魅(み)せつけられてしまうと、もはや“神超え”の領域に入ってしまいます。

挑戦者のホセ・ニエベス(32=プエルトリコ)を、左一発で1回2分40秒、わずか160秒でKOに仕留めたWBC世界バンタム級王者・山中慎介(30=帝拳)です。

依然として酷暑が続く8月12日午後、汗をダラダラと流しながら東京・大田区総合体育館に向かいました。プロボクシングのダブル世界戦、山中のV4戦とWBC世界フライ級王者・八重樫東(30=大橋)の初防衛戦を取材するためです。

試合はもうひとつ、ノンタイトル戦ながら元2階級制覇王者・長谷川穂積(32=真正)の、3階級目を視野に入れた世界前哨戦(56・7キロ契約=対ヘナロ・カマルゴ戦)が組まれており、ファンにとってはたまらない豪華カードが並びました。

その長谷川がいきなり、1回2分32秒、わずか152秒のTKO勝利で会場を盛り上げます。まず左フックで相手にひざをつかせるダウンを奪った後、今度は連打から放った電光石火の左フックでKO勝利、半回転してうつ伏せにキャンパスに倒れたカマルゴは、一時意識が飛び、担架が運び込まれるほどのダメージを受けていました。

八重樫の下馬評は、微妙なところにありました。井岡戦(WBA&WBC世界ミニマム級統一戦=井岡の判定勝ち)、五十嵐戦(WBC世界フライ級タイトルマッチ=八重樫の判定勝ち、王座獲得)と、まさに身を削るような接近戦を展開させており、それが強打の挑戦者オスカル・ブランケット(28=メキシコ)に通じるか、といったところが、評価を分けていました。

山中はまたひとつ高みに上がった

が、五十嵐は滑り出しの1、2回こそ、相手の攻勢点を許しますが、3回から足を使って、打つ、離れる、打つ・・・という出入りを軸とするボクシングでペースをつかみ、ポイントを重ねます。

スポニチ本紙の世界戦評論でおなじみの浜田剛史氏(帝拳プロモーション代表)は、全体的に幅を広げた八重樫を感じますね、経験を積んだことによるものでしょう、と、終わってみれば八重樫の大差判定勝利を高く評価していました。

○→○と続き、最後に控えるメーンイベンターの山中にとっては、願ってもない舞台が整えられました。会場を埋めた4000人観衆も“そのとき”を待っています。それこそ、神サマ、仏サマ、山中サマ! といった気持ちだったことでしょう。

「もっと見たい!」といったファンの気持ちを裏切るような結末は、しかし、山中のせいではありません。11年11月の王座獲得後、これまで3度の防衛戦で2度のKO勝ち、しかも、その相手はいずれも難敵ばかりでしたが、それをことごとく乗り切ったことによる自信が、山中をさらなる高みに押し上げているのです。

だから、浜田氏は〈山中の貫録勝ちでした〉と言いました。リング上で向き合った瞬間、2人の間では、戦う前にもう、力の差が明らかになっており、それは技術がどうの、などという問題以前に、今の山中の前には、ランク8位のニエベスあたりではどうしようもない、太刀打ちなど出来ない差が出来上がってしまっていた、ということなのでしょう。

それは、あるいは試合を観戦したWBO世界バンタム級新王者となった亀田和毅(22=亀田)も感じたことかもしれません。

4団体の王座統一戦は、それぞれの陣営の、今後の選択肢に含まれるものかもしれませんが、今の山中の充実は、並大抵のことでは崩せないのではないか、4団体の王座統一戦などは、山中が求める道を進む過程でぶつかってくるものなのではないか、など次元の違いを、この“瞬殺劇”となったV4戦で感じました。
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黄金のバンタムw
プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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