「緊張」という厄介者

「自分に期待しないと、こういうスコアが出やすい。期待とうまく付き合っていけるようになればいいんだけれど・・・」

女子プロゴルファーの宮里藍(25)が、先に終了したUSLPGAツアーの今季メジャー最終戦「全英リコー女子オープン」(8月1日最終日=英国・ロイヤルバークデールGC)を終えて話した言葉がこれでした。

最終日、7バーディー(2ボギー)を奪って67の好スコアをマーク。通算2アンダーで第3日の29位から一気に9位に浮上しましたが、第1日に76を叩いてしまった出遅れもあり、優勝争いに加われない中での“巻き返し”は、素直に喜べず、気持ちは複雑だったようです。

ゴルフはまさにメンタル・ゲームです。第3日を終えて通算3オーバーの宮里は、通算12アンダーで首位の曽雅妮(ヤニ・ツェン=台湾)に大差をつけられて圏外に追いやられました。プレッシャーもなく、こうなったらひとつでも上を・・・と練習ラウンドさながらにノビノビやれば、宮里ほどの実力者、60台のスコアがすぐに出せてしまいます。悔やまれる第1日の乱れ。プレッシャーがある中でなぜ、これができないのだろうか。そんな苛(いら)立ち、悔しさ、自分への情けなさがにじみ出るような冒頭の言葉でした。

“練習通り”の難しさ

プロボクシングの元世界王者・浜田剛史氏が言いました。

「練習でしたことが試合で出せれば勝てますよ。まあ、それがなかなかできないから、また練習を繰り返すわけですけどね」

対戦相手が決まった直後から相手の研究、分析が始まります。長所・短所が指摘され、それへの防御、攻撃などの対策が入念に練られます。それを念頭に置いた練習。繰り返し、また繰り返し、それこそイヤになるほど練習し、完全に頭に入ったとしても、いざ試合になるとなかなかそれが実践できません。

もちろんボクシングの試合には動く相手がいて、相手もまた、相手の研究を怠らずに試合に臨むわけですから、簡単に練習通りというわけにはいかないことは分かります。が、やはり練習通り、を阻むものは、プレッシャーや狙いすぎなどの欲、といった精神面の部分が大きいのです。

「緊張」という厄介者を自分の中から追い出すことはなかなか難しいものです。だから、ゴルファーやボクサーに限らず、多くの競技者は、試合に臨むにあたって「平常心」を自分に言い聞かせるのでしょう。

かつてアニカ・ソレンスタム(引退)を指導した名コーチのピア・ニールソン氏は今、宮里の相談にものって指導していますが、同氏は自著「ゴルフ“ビジョン54”の哲学」の中で「プレッシャーの克服法」に触れてこう記述しています。

「誰にも緊張はあり、それを見ないふりはできない。むしろ、その存在を認めて受け止め、うまく付き合うべきなのだ」

緊張したら自分はどうなるか。精神面、身体面、感情面など各面から緊張した自分を分析し、それが起きたときに状態を変えられる準備をしておく。それが緊張とうまく付き合う方法だ、とニールセン氏は提起しています。

宮里が言う「期待」は自分の欲や緊張でしょう。それにうまく付き合えるようになったとき、今季はお預けとなったメジャー制覇は向こうから近付いてくるのかもしれません。が、それは来季への宿題として今後の健闘を見守って行きたいものです。



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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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