ニュース番組に必要な“ざっくり”は?

〈ざっくり〉=「力を込めて切ったり割ったりするさま。また、切れ目・割れ目の深いさま」(広辞苑)

夕方の時間帯を激しく競り合う民放テレビ各局のニュース・情報番組ですが、10月改編を前にした9月30日、TBSテレビの「Nスタ」がいち早くリニューアルに着手。どこよりも早い午後3時50分開始の拡大版を放送しました。

午後7時までの長い時間帯。視聴者を引きつける開始早々“序盤戦”のウリ? は「ざっくり」という表現でした。

つまり「ざっくりニュース」と「ざっくり解説」・・・「ざっくり」という表現を頻繁(ひんぱん)に使って“今ふう”を視聴者に問いかける作戦ですが、ちょっとしつこく、この時間帯の視聴者層を考えれば、聞き苦しくもあるのでは? という印象でした。

さて・・・文化庁がまとめた平成24年度「国語に関する世論調査」の結果がこのほど、公表されました。

この世論調査は、同庁が平成7年度から毎年、実施しているものですが、各年度ごとに例えば、敬語の使い方の間違い、あるいは“「ら」抜き言葉”など言葉遣いの乱れ、などが指摘され、しかし、現代社会の状況の変化にともない、若者言葉の氾濫(はんらん)など、本来の意味とは違っていても、日常的に使われることにより、それが主流になってしまうケースなどを調査しています。

本来の意味から外れる“派生”解釈

今回は、例えば「ざっくり」や「さくさく」あるいは「きんきん」などの表現が、本来の意味から派生して、別の意味に表現されていることが指摘されていました。

つまり「ざっくり」の本当の意味は、冒頭に記した通りですが、新しい表現としての「ざっくり」は「大まかな」とか「大雑把な」という意味に変わってきます。

使い方としては「ざっくりとした説明だな」などが主な例として挙げられています。

同様に「さくさく」の本来の表現は「①霜柱などを踏んで歩くときの音②物を噛んだり切ったりするときの軽快な音」(旺文社・国語辞典)ですが、世論調査では、今ふうの表現として「パソコンがさくさく(快適に)動く」という使い方をされ、また「金属的で耳に鋭く響く高い音声」(広辞苑)である「きんきん」にしても、今は「きんきんに冷えた(よく冷えた)ビール」などの使い方が普通になされているとのことでした。

それらに対する文化庁の見解は、誤った使い方をされていても、それが日常的に使われ、定着することにより、本来の意味から派生した別の新しい言葉(表現)に変化していく、としています。

・・・だとしても、この「ざっくり」に乗ったTBSテレビ「Nスタ」の試みは微妙ですね。

この「ざっくり」は、果たして本来の表現を意味するものなのか、あるいは派生した新表現を意味するものなのか。番組は、後者の意味合いで報じたニュースを、前者の意味合いで解説する、という方法をとっています。

まあ、しかし、前出したように、この時間帯の主な視聴者層といえば、だいたい高齢者層、夕食の用意に忙しい主婦層、そして学校から帰ってきた小学生層、といったところではないでしょうか。

それを考えれば“ざっくりの連呼”は、いささか耳障り! に感じます。

どうせやるなら、奇をてらわず、世の流れへの迎合もなく、切り口鋭い、骨太の「ざっくり」勝負を繰り広げてもらいたいと思いますし、テレビ局であるなら「ざっくり」の表現の本来の意味をアピールしてもらいたいとも思いますが・・・どうでしょうか。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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