続・今度こそ!・・・宮里美香

何とも凄いパットでした。

難しい下り7メートルのスライスラインです。スルスルと転がり始めたボールが、ストンとカップの底に消えたとき、私は思わず、激しく手を叩き、やった! と大声を上げてしまっていました。

国内女子ゴルフツアーの今季メジャー第3戦「日本女子オープン」(神奈川・相模原市=相模原GC東コース)最終日(10月6日)の激闘です。

後続に5打差の首位でスタートした宮里美香(23=NTTぷらら)が、アウトで4ボギーを叩き、展開は一気に緊迫感を増しました。

勝負のバックナイン(イン)に入り、猛追の菊地絵理子が14番でついに宮里美をとらえ、15番では一時、首位に立ちもしました。

勝負が懸かった最終18番。通算1オーバーの宮里美と通算2オーバーの菊地、さらに先に通算1オーバーでホールアウトした佐伯三貴の三つ巴の戦いとなり、宮里美がしびれるバーディーパットを決めて、この大勝負を勝ち取りました。

いかにも女子ゴルファー日本一決定戦らしい、緊迫感あふれる展開にあって、テレビ観戦のファンの方々は、中継するNHK総合テレビの解説を務めた森口裕子プロの、分析の“深さ”にお気づきになったでしょうか。

まず、第3日が終了したとき、森口プロはこう言っていました。

〈(宮里美の)5差は決してセーフティリードとは言えませんね、この差は自分の集中力を高めるのが難しい。むしろもっと、競っていたほうが引き締まるものです〉

最終日の宮里美は、アウトの4ボギーで貯金を使い果たし、借金まで背負ってしまいました。自身は、緊張感なくスタートできたが、グリーンのタッチが合わずに・・・と振り返りましたが、あるいは森口プロの指摘通りのことが、内面で起きていたのかもしれません。

森口プロの分析の深さにもしびれた!

そして・・・最終日のイン。追う菊地が13、14番の連続バーディーで宮里美をとらえ、15番で宮里美がボギーを叩き、ついにトップに躍り出たとき、森口プロが言いました。

〈菊地さんはここまで、追う立場で勢いに乗っていましたね。並んだところから、もう一度、勝負できるか。追われる立場になって自分のゴルフができるか、ですね〉

直後の16、17番で菊地は、パットミスを繰り返し、手痛い連続ボギーで再び後退してしまいます。

選手たちの激闘もさることながら、その心理を分析、自らの経験を踏まえた、森口プロの的確な解説には、脱帽させられました。試合の凄さにうなり、解説の凄さにまたうなり・・・です。

私がスポニチ本紙のゴルフ担当記者として試合を追いかけていたころ、森口プロは、イケイケの目下売り出し中! でした。

泣く子も黙る岐阜関の井上清次氏(故人)の門下生。師に心身を厳しく鍛えられ、持ち前の負けじ魂で頭角を現し、トッププロの仲間入りへと階段を駆け上がっていきます。

そのときの印象は? と言えば、コースを勢いでねじ伏せる、といったタイプでした。

その後・・・50歳(現在58歳)になっていた森口プロにある会合で出会い、話をする機会を得ました。「あのころね。あのころの私は、365日、自分の日でなくては嫌だった」と振り返った森口プロは、結婚、出産、産休、ツアー復帰、さらに自身の内臓疾患など、さまざまなま人生経験を積んで「ゴルフってね、いろいろな意味で自分が試されるゲームだと思う。今の私は、ホント、素直に(試されるものに)向き合えるようになった」と言いました。

〈選手たちは必ず、コースが求めているものにぶつかり、戦っています。失敗があったとしても、求めているものに気づき、真摯に練習を繰り返すことで、やるべき課題が明確になってくる。日々、勉強がなくてはダメですね〉

宮里美には、9月15日に終了したUSLPGAツアーの今季メジャー最終戦「エビアン選手権」(フランス・エビアン=エビアン・リゾートGC)で最終日、トップでスタートしながら大失速した悔しさが残っています。

最後の最後、土壇場であのパットを決められたことは、エビアン選手権後、悔しさの中から、やるべき課題を明確にさせることができたからかもしれません。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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