「早成世代」に感じる懸念

〈最初にお礼です〉

「こてつ」さん! 素晴らしいコメントをありがとうございました。今年1月27日にNHK総合テレビが放送したNHKスペシャル「“世界最強”の伝説~ラスベガス世紀の一戦」に対してのものですが、メディア側が“知ってほしい”と取り上げたジャンルに対して、視聴する側が、個人的な好き嫌い、興味のあるなし、を超えて受け止め、この世界(興行スポーツ界)を洞察する姿勢に感動しました。

〈さて本日のテーマは・・・〉

このほど、高校生初のアマ7冠に輝いた“怪物”プロボクサー・井上尚弥(20=大橋)の、東洋太平洋王座挑戦が決まりました。

現在、東洋太平洋ライトフライ級1位の井上は、12月6日に東京・両国国技館で行われる、同級2位のヘルソン・マンシオ(フィリピン)を相手とする同級王座決定戦に臨みます。

昨年10月にプロ・デビューした井上は、今年8月、プロ4戦目で田口良一(ワタナベ)が持つ日本ライトフライ級王座に挑戦し判定勝ち。辰吉丈一郎(大阪帝拳)以来、23年ぶりとなる国内最短タイ記録で日本王座を獲得しました。(同王座は返上)

モチベーションを維持し続ける難しさ

プロ5戦目となる今回の東洋太平洋王座チャレンジは、成功すれば、現・WBC世界フライ級王者の八重樫東(30=大橋)らが持つ最速タイ記録となりますが、井上陣営が視野に入れるのは、もちろん、現・WBA世界ライトフライ級王者の井岡一翔(24=井岡)が持つ、日本人選手の最短記録となるプロ7戦目での世界王座奪取です。

井上陣営の野望は、できるなら“新記録”でしょうし、となると次戦、プロ6戦目での世界挑戦計画が浮上してきます。その意味では、前哨戦でもある東洋太平洋タイトル戦は、正念場となりそうです。

達成されれば、それはそれで、ボクシング史に残る誇らしい記録となります。が、途中、眼疾で挫折した、かつての辰吉にもあったことですが、今の井岡、井上には、常に“最短”“最速”を懸けた記録の中での戦いを強いられているような気がして、一抹の不安を覚えます。

平成世代は、概して「早成(そうせい)世代」とも言えるでしょうか。「早成」とは「早く成就すること」「早く心身の熟すること」(ともに広辞苑)で、その反対語が「晩成」です。「晩成」という言葉には、息の長さが感じられますね。

西洋のことわざに「Early ripe early rotten」というのがあります。早く熟すれば、早く腐る-つまり、あまり若いうちに富や名声を得たものは、その分、早く人生の悲哀を感じるようになる、ということのたとえ、と辞書にありました。

昨今のスポーツ各界は、15歳をキーワードとする10代選手の躍進が顕著です。実現した2度目の東京五輪に向けて好材料ではありますが、他方、彼らにつきまとう「早成」による危機の部分をどう解消していくのか、これから目をそらすわけにはいかないでしょう。

若くして“燃え尽き症候群”になどならず、いつまでも「日々、まだまだ新しい発見がある!」というモチベーションを、どう持ち続けられるか。「早成世代」への懸念は、そのあたりにありそうです。

願わくば、最短記録を達成した彼らが、若いうちに“人生の悲哀”などを味わってほしくないものだ、と思います。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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