“ゆるキャラ”人気の背景

連日の異常なほどの猛暑で自宅の室温が何と34・9度まではね上がったここ数日です。

私の家では台所に温度計が吊るされているのですが、気温が35度近くまでになると、茶碗とか魔法瓶とか、何と箸(はし)までも、そのあたりに置いてあるものが生ぬるく熱を帯びてくるのですねぇ。こんな状態はホント、過去にあまり経験のないことです。

夏休みに活躍中の各地の“ゆるキャラ”勢がこの暑さにダウン寸前、熱中症で搬送されたなどという異常事態が新聞で報じられたある日の夜、こりゃたまらん! と冷房の涼を求め、友人と誘い合わせて飲みに出かけました。

昨今、まるでタフさのない、弱々しい可愛らしさと愛嬌(きょう)で子供たちに大人気の“ゆるキャラ”群が、暑さでダウンするなんて(もちろん中に入って奮戦している方々のご苦労は理解してますよ)いかにも、らしいね、ますます子供たちに同情されて愛されちゃうんじゃないの、などという話題から、次第に今の時代、人気を生むキーワードは「ダメ」なのかねぇ、という話に進んで行きました。

ここ数年、テレビのゴールデンタイム(午後7時からの時間帯)で主流のバラエティー番組など、私はもううんざりで、あの笑い声と手を叩く音を聞いただけでいやになり、見る気もしませんが、友人が言った言葉には“意外性”があって興味深いものがありました。

人に安心感を与える“ダメ”キャラ

つまり、それは彼の娘さんの言い分なのだそうですが、友人を含めた私たちオヤジ連中の苦々しさとは別に彼女たち若い層は、ああいった他愛のないお笑い番組やおバカなキャラを売りにしたクイズ番組を見ていて「自分に安心感を覚える」のだそうです。

番組のつくり手が、そこまでを意識してつくっているのかどうかは、聞いていないので分かりませんが、もしそうだとしたら、それはそれでたいしたものだね、とつくる側の意図に対して見直さざるを得ません。

そういえば、かつて星飛雄馬の生きざまが少年たちを魅了したスポ根漫画「巨人の星」やボクシングにとことん打ち込む「あしたのジョー」の矢吹丈らヒーローたちは皆、強くたくましく、踏まれても踏まれても、くじけずに立ち上がってくるタイプで、それが少年たちの共感を生み、憧れともなっていました。それは、自分にはとてもできそうにない夢を、彼らが代わってかなえてくれるというヒーロー像です。

が、今は問答無用に強いヒーロー像よりも、例えば藤沢周平の剣客小説「隠し剣」シリーズに登場してくるような、壮絶な剣技を持っていても、人としての優しさや弱さがあり、場合によっては“ダメ男”的で女房にも愛想をつかされかねないキャラクターが、今の時代を映し出すヒーロー像へと移行しているように思えます。

肉食系女子とか草食系男子とかの言葉がはやり、だんだん男どもが情けなくなっていくような傾向にあるようですが、私はときおり、酔いにまかせつつ、カウンターの向こう側にいる女性たちに「強い男に頼ってついていく生き方と、弱いダメ男に手を差し伸べる生き方の、どちらを選ぶか?」というような質問をしてみます。女性は結構、後者の方に興味を引かれるケースが多く、ヘェ~という感じなのですが、その一方、最後は立ち上がってほしいとの希望もあって、気持ちは複雑なようです。

ただ、友人の娘さんが言う、ダメなものに接して自分を安心させる気持ちには“なるほど”と妙な説得力があり、それが愛すべき“ゆるキャラ”の爆発的な人気とか、ダメなものの方が共感を覚えやすい傾向に結びついているのかもしれません。

ああ、時代は変わる、といったところです。

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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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