「55キロ級」消滅に影響はあるか?

エッ? またまた強い日本勢へのバッシング? 一瞬、こう思ってしまいました。

国際レスリング連盟(FILA)が、このほど発表した、2016年リオデジャネイロ五輪などで実施する「新階級」制です。

それによると、階級は男子のフリー&グレコローマン両スタイル、女子とも「6階級」に統一され、男子はこれまでの7階級からフリー&グレコローマンとも各1階級の減、女子は同4階級から2階級の増となったものの、五輪3連覇中の吉田沙保里(31=ALSOK)の階級「55キロ級」がなくなってしまいました。

一瞬、バッシング? と“拗(す)ねた”目で捉えてしまったのは、過去、結構多く、そうしたことが行われたことを思い出してしまったからです。

そうです。皆さんもまだ、記憶に残しているのではないか、と思います。古くは水泳の、日本人選手が得意とした「潜水泳法」が禁止されたり、また比較的、新しいところでは、スキーのジャンプ競技やスキーのノルディック複合競技のルール改正などです。

スキーのジャンプ競技では、体の小さい日本勢が、欧州勢を超えるには、スキー板の長さで勝負する必要がありましたが、強い日本勢をけん制するために、身長に応じたスキー板の調整が課せられることになり、そのルール改正により、身長が高い選手に有利、低い選手に不利、の差が生じました。

また、スキーのノルディック複合競技では、クロスカントリーで日の丸の旗を振りながらトップでゴールする荻原健司選手(引退)の雄姿はまだ、目に焼きついていますが、この競技での日本人選手の強さは、前半のジャンプで差をつけることにあり、それを抑えるためにジャンプのポイントを低くするなどのルール改正が行われました。

もっとも荻原選手は、新ルール制定後も変わらぬ強さを発揮して、意地の“倍返し?”をして見せてくれましたが・・・。

「たかが2キロ、されど2キロ」の結果は?

そうしたことがあったために今回の出来事も、強すぎる吉田への“いじめ”では? と勘ぐってしまったわけですが、よく考えてみれば、レスリング競技は、一時は五輪競技から除外される危機に立たされ、そこから世界の関係者が一丸になってアピール、存続にこぎつけた、という経緯があります。

が、だからといって、それに安堵してしまうわけにはいかず、今後の安定を求める意味でも、日々進化、五輪競技として永久的存続の意義を改革などでアピールしていかなければなりません。

つまり、FILAにとっては、吉田へのバッシングどころか、もはや“世界V14”を成し遂げた吉田は、世界のレスリング界の顔であり、彼女を抱き込んだアピールこそが最優先されなければならない情勢にあるのです。

「55キロ級」に代わり、新設された「53キロ級」で五輪4連覇を目指すことを表明した吉田は、新聞各紙で〈不安はあるが、決まったことなので、ルールの中でしっかりやっていきたい〉と力強くコメントしています。

体重制のあるスポーツは、体重とともに微妙に変化する「パワー」と「スピード」の兼ね合いを、選手たちは最も気にします。つまり、ボクシングなら、上から体重を落とす選手は「パワー」が武器となり、下から体重を上げる選手は「スピード」が武器となり、そのどちらを選択するか、ということです。

体重の壁を超えて大活躍したマニー・パッキャオ(フィリピン)は、上の大きな選手と戦うときでも、あえてウエート増を抑え、スピードのほうを優先させています。

その意味で「55キロ級」から「53キロ級」に下げる吉田は、パワーに勝り、さらに持ち味であるスピード勝負の高速タックルを、やはりスピード勝負の、もともと「53キロ級」の選手にどう炸裂させるか、が勝負の分かれ目となってきそうです。

・・・としても、もはや吉田クラスになれば、状況がどうなろうと、敵は自分自身! です。 「たかが2キロ、されど2キロ」の結果は、吉田自身がもたらすものとして“お手並み拝見!”といきたいものです。

〈参考〉
★2016年リオデジャネイロ五輪などでのレスリング新階級★
女子=48、53、58、63、69、75キロ
男子(フリー)=57、65、74、86、97、125キロ
男子(グレコ)=59、66、75、85、98、130キロ
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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