石川遼に見る好敵手への闘争心

たった一人で孤高を保つことの苦しさより、複数で競り合って切磋琢磨し合う厳しさのほうがいいに決まっています。

そうして見たとき、大相撲の初場所(1月26日千秋楽=東京・両国国技館)で、一方の東横綱・日馬富士(伊勢ケ浜)の休場により、孤高を保つことの精神的重圧を余儀なくされながら優勝した西横綱・白鵬(宮城野)の、今場所に限ったことではないメンタル面の強さには、頭が下がる思いです。

大相撲界には、いまさら言うまでもなく、かつての「柏鵬時代」(柏戸vs大鵬)や「北玉時代」(北の富士vs玉乃島=四股名は当時)など、時代を彩るライバル・ストーリーが必ずあり、両雄が並び立ったり、並び立たなかったり、ともにしのぎを削りながら高みを目指し、好勝負で観客を魅了したものでした。

スポーツ各界のライバル・ストーリーを、あれこれ挙げればキリがありませんが、例えば男子プロゴルフ界が活況を呈していた「A(青木功)O(尾崎将司)N(中嶋常幸)」の時代、活況の要因は、並び立つ強者たちの切磋琢磨、そこから生まれる、手に汗握る名勝負にありました。

1964年(昭39)にプロとなった青木は、プロ野球界から1970年(昭45)にプロゴルファーに転向したジャンボ尾崎の武器「飛距離」に闘争心を燃やし、オレにはあの距離は無理だが・・・と、ドライバーの安定性、小技の確かさ、に死にもの狂いで取り組み、磨きをかけたといいます。

それがアプローチとパットの名手として後に“帝王”ニクラウス(米国)と息詰まる死闘を繰り広げるなどの“世界のアオキ”を生んでいます。

さてさて・・・先週のUSPGAツアー「ファーマーズ・インシュランス・オープン」(1月26日=日本時間同27日=最終日、米カリフォルニア州ラホヤ=トーリーパインズGC)での石川遼(22=CASIO)の生きの良さは、どこから来たものでしょうか。

“怪物”の意地! 遼が上にいる

第3日に首位に3打差(6位)の好位置につけて最終日、一時は首位に並ぶ健闘を見せながら通算7アンダーとスコアを伸ばし、通算9アンダーで優勝したスコット・ストーリングズ(米国)に2打差の7位と、大きな手応えを感じる結果を得ました。

米ツアー本格参戦2年目となる2014年シーズン。「初Vあと一歩」の見出しで石川の健闘を讃えるスポニチ本紙の記事中、見逃せなかったのが、松山英樹(21=LEXUS)の「まあ、満足はしていますけど、遼が上位にいますし、やっぱり、そういうところでやりたかったというのはあります」のコメントでした。

左手親指付け根の痛みにより、大事をとって一時戦線離脱、この試合は8週間ぶりの復帰戦となりました。それでも“怪物”は怪物らしいゴルフで最終日69、通算5アンダーで16位にまで順位を上げました。

松山のコメントに石川への対抗心が滲(にじ)み出るなら、石川だってそれは同じです。同年代、ジュニア時代からのライバル・・・プロのキャリアは石川のほうが先輩ながら、実際は差をつけられてしまっています。

2013年4月にプロ転向した松山は、ルーキーイヤーのその年、新人離れした活躍で全米オープン、全英オープンなど海外メジャーでトップ10入りするなど好成績を挙げ、米ツアーのシード権を獲得、今年4月の「マスターズ」出場権も獲得するに至っています。

が、石川のほうは? と言えば、不振にあえぎ、シード権も得られずに下部ツアーでの入れ替え戦に臨むことを余儀なくされ、2014年シーズンの出場権をやっと得たものの、肝心の「マスターズ」出場は、これからの出来に懸かってくる状態にあります。

そんなとき、来季のシード権獲得に大きく前進する今回の躍進が、松山に対するライバル心にあったとしたら、ウ~ン、いいねェ、好循環になりそうだなァ、と感じます。

一人で戦い続け、すべてを一人で背負い続けた前年の苦しさ・・・しかし、今やっと、ライバルとの切磋琢磨という“楽しい”厳しさが得られたなら、今年の2人は何かをやってくれそうな気がします。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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