「心のメダル」こそが似合う入魂演技

2月21日朝-。わずか数時間の睡眠(仮眠?)で頭と体がシャキッとしなくても、心のどこかに勇気を感じる目覚めとなりました。

ソチ冬季五輪第14日。2月20日午前零時から同21日未明(日本時間)にかけて行われたフィギュアスケートの女子フリー。浅田真央(23=中京大)が見せた渾身の演技の感動がまだ、熱く尾を引いていたからです。

メダルの獲得は、4年間の精進の結果を証明するものとして、大事なものでしょう。が、周りがそれを期待し、期待される当人もその重圧に押しつぶされてしまう、という、五輪がめぐってくるたびに繰り返される出来事を「俗世的」というなら、浅田が最後にやってのけたことは、俗世を下に見た、まさに自分の、自分による、自分のための“孤高の演技”でした。

それより以前、滑り出しとなったショートプログラム(SP)ですべてが噛みあわず、まさかの16位のつまずき。「自分でも、終わってみて、何も分からない・・・」と語る浅田の顔は、テレビの画面をを通しても、ということを差し引いても、血の気が感じられず、なぜここで・・・と悲運を感じたものでした。

得点55・51点。首位に立った韓国の金妍兒(キム・ヨナ=23)が74・92点。その差19・41点。フリーで巻き返さなくては・・・と思うことは当たり前としても、その夜、浅田はどう過ごしたのだろうか、睡眠は取れたのだろうか、などということを考えてしまいます。

「底力」の凄さ、そして「壮絶」「凄絶」-

2月18日のこの欄で「負け方」について書き①接戦の末の惜敗②持てる力を発揮したが届かずに敗北③持てる力を発揮できずに敗北④歯が立たずに完敗-の4種類に分けました。

その中で過剰に期待がかかる浅田については、最も難しいことではあるが、持てる力を平常心で最大限に発揮すること、その結果がどう出ようが、それはそれでいいではないか、負けは負けでも、輝く敗戦を見せてほしい、と書きました。

SPでそれが出来なかった浅田は、次、頑張ろう! と自分を奮い立たせる一方、もうこれで姿を消してしまおうか、と「前向きと後ろ向き」の気持ちがせめぎ合う夜になったのではないか、など私は、マイナス面ばかりを頭に思い浮かべ、勝手に気遣ってしまっていました。

フリーの演技を終えた浅田は「自分のことに集中して自分の演技をしようと思って臨んだ」と話していました。この、よく耳にする言葉ではあるのですが、なかなか言葉通りには行かないことの裏にあったものは、何が何でもこれをやり抜く! という決意だったようです。

崖っぷちに追い込まれた一線級の実力者が、開き直って集中すると、こうも凄いことになるのでしょう。余計なことには一切惑わされず、ただ一途に持てる力をミスなく出し切った「底力」の凄さ、それは「壮絶」であり、また「凄絶」でもありました。

フリーの得点142・71点で合計198・22点を叩き出し、最終滑走の上位6人を残してトップに立ち、一気にメダルへの道を切り開いてきます。

上位陣の高得点争いに最終的には6位となりました。

・・・が、浅田の入魂はもう、メダルがどうの、などというレベルを超え、最大限に努力したものを、最大限に出し切れた、という、自分自身が自分に与える「心のメダル」こそが、最も似合っている、と思います。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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