金メダリストに見たプロ第3戦の進化

フジテレビが2月22日夜(午後7時57分~)に生中継したプロボクシングの村田諒太(28=三迫)のプロ第3戦を見て最初に感じたことは「脱皮」でした。

ロンドン五輪のボクシング男子ミドル級金メダリスト。プロ転向後、昨年8月の第1戦(○2回KO=柴田明雄)、同12月の第2戦(○8回KO=デイブ・ピーターソン)を経て第3戦(ミドル級8回戦)は、中国・マカオで行われ、相手は世界挑戦の経験を持つベテラン選手、元WBCラテン・スーパーウエルター級王者カルロス・ナシメント(36=ブラジル)という、難しい試合が組まれました。

試合地となった中国・マカオは、昨年11月、マニー・パッキャオ(フィリピン)が再起戦(○判定=ブランドン・リオス)を行っており、世界的プロモーターのボブ・アラム氏が主宰する「トップランク」社にとっては、アジア戦略の重要な拠点となりつつあります。

会場となった「ザ・ベネチアン・マカオ」のリングには、村田のほか、ライトフライ級で北京&ロンドン両五輪を連覇した鄒市明(ゾウ・シミン=中国)、ロンドン五輪ライトヘビー級覇者のイーゴリ・メホンツェフ(ロシア)が集結し「リング・オブ・ゴールド」と銘打たれた、各国金メダリストの競演は「トップランク」社の威信をも背負う大事な一戦となりました。

そんな中で村田は、どんな試合を見せたでしょうか。

ゴングが鳴らされた初回、オオッ! と声を上げてしまったのは、村田が、高いガードで顔を固め、上体を小刻みに左右に振りながら向かい合ったからです。

ナシメントも高いガードで接近、こちらは距離を詰めて連打へと移行する戦法ですが、何と村田は、それをよく見て左ジャブを放ち、打ち合いに付き合おうとしません。変身!

出来た! 左ジャブからの攻略

プロ第2戦の試合内容、覚えていますか?

グイグイと前進して圧力をかけ、荒々しくパンチを振ってきたピーターソンに対し、村田の課題は、元世界王者の浜田剛史氏(帝拳プロモーション代表)によれば「これに付き合わずに距離を取り、左ジャブを出しながら機をうかがうことが出来るか」でしたが、結局、村田は打ち合ってしまいます。

結果、4回には左右フックを浴びて足が止まってしまうピンチにも見舞われていました。

その試合から約2カ月、言い方を変えるなら“大人になったなァ”“プロらしくなったなァ”という印象でしょうか。2回も突っ込まず、ワン・ツー、右アッパー、ボディーなどを放っては、離れて距離を取り左ジャブ、それが3回、左ジャブから接近して右アッパーで腰を落とさせ、連打でダウンを奪い、4回のレフェリーストップに結びつけました。

4回43秒、TKO勝ち-。試合後、フジテレビのインタビューに応える村田の発言に“進化”を感じました。

ガードを固め、アップライトの態勢で接近して連打するアマチュア時代の形が、プロ転向後の前2試合にもあり、今回はそれを変えたことに対しての質問に村田はこう答えます。

〈左は出したつもりだけど、まだまだ少ないと思います。ジャブを出すこと、距離を取ること、はこれから大事な課題です。全部打っているわけにはいかないですからね〉

今は6回戦、8回戦、8回戦とラウンドも短く、8回フルラウンドを戦ったのも第2戦だけで、ガムシャラな打ち合いもまだ許容範囲にありますが、やがて来るだろう世界戦は12回の長丁場、それを見据えれば、試合のコントロールは欠かせず、そのための左ジャブ、攻めの緩急もまた、身につけなければならないだろう、という意識がこの第3戦、随所に漂っていました。、

村田はこうも言いました。

〈金子君がね(昨年大晦日のWBA世界スーパーフェザー級王者・内山高志戦)ダウンを奪ったあと、ガーッと突っ込んで距離を見失っていたでしょ。ダウンを取ったあと(ボクは)それを思い出していました〉

慌てず騒がず、決着は3回でも4回でも同じこと、という心の余裕は、前2戦にはなかったことと思いますが、何よりもこの発言で“エーッ、あの場面でそう考えていたのか”と驚かされました。

そうしてみると村田は、日本人選手には、これまで“手に負えなかった”領域の難しいミドル級で、本当に世界の頂点に立ってしまうのではないだろうか、という可能性をより強く、感じてしまいます。

だいたい・・・いつも思うことですが、ボクサーは控え室からリングに向かう途中が一番、心理的な圧迫を受けるものと相場が決まっていますが、この男はなぜ毎回、ニコニコと笑えているのでしょうか・・・そこに「異能」を感じます。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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