「使命」と「義務」が懸かった勝負の凄さ

その道に秀でたトップ・アスリートの言葉は、迫力があり、凛々(りり)しいものです。

5月22日、ベトナムのホーチミンで行われたサッカーの女子アジア杯(準決勝)で日本代表「なでしこジャパン」が、延長戦にもつれ込む激闘の末、2-1で中国を撃破しました。

CKからの2得点を演出したMF宮間あや(29=岡山湯郷)が言いました。

〈日本で女子サッカーをやっている一人としてアジア杯を獲るのは使命です〉

同日、京都(島津アリーナ京都)でプロ第4戦に臨んだロンドン五輪のボクシング男子ミドル級金メダリスト・村田諒太(28=三迫)は、ヘスス・ネリオ(25=メキシコ)を6回KOに下した後、インタビューに答えて言いました。

〈オリンピックの金メダリストである以上、世界タイトルを絶対に獲ることは義務と思っています〉

「使命(与えられた務め)」と「義務(当然なすべきこと)」-。

ともに自分に課せられた役割を、責任をもって果たす“意志の強さ”が漂う言葉です。

彼&彼女たちは、こうした“強い意志”で戦い、難局を乗り越えるからこそ、見る側の手に汗を握らせ、また感動を与えるのでしょう。

さて、世界王座の奪取を「義務」と言い切った村田の試合はどうだったでしょうか。

「義務」が遂行される日は近い

相手のネリオは、世界挑戦の経験もあり、何よりも体の柔軟性でパンチを当てにくいとされたメキシカンです。

が、終わってみれば、村田が終始、リングを支配し続けた試合。村田の圧力にネリオが終始、下がり続けた試合でした。

展開を振り返ってみると-。

序盤から村田がグイグイと前に出ます。このプレッシャーは、相手にとって相当にきついのでしょうねェ。そこからジャブ、接近してボディー、さらににワンツーの威力ある右・・・。

手数ではネリオでした。が、解説を務めた元WBC世界スーパーバンタム級王者・西岡利晃氏が、こう指摘します。

〈あれはもう、手を出さざるを得ない状態に追い込まれているのですね。村田に“打たされている”んですよ〉

なるほど。手を出そうがどうしようが、グイグイと接近してくる相手にもう、ネリオは“やめてくれ!”とパンチを出しているように見えました。

・・・そして5回、右ストレートを当てて手ごたえをつかんだ村田が、6回に勝負を懸けます。まず、ロープに追い詰め、そこから逃げようとしたネリオに右フックを見舞い最初のダウンを奪いました。

こうなれば、もう、最後の仕上げだけです。立ち上がったネリオを追い詰め、狙い澄ました伸びのある右ストレートを顎に放ち2度目のダウン。6回2分35秒。試合はここで終わりました。

村田のこれまでの試合には、それぞれテーマがありました。もともとはアマ時代の戦い方で分かるように、接近してパンチを叩きこむファイター・タイプ。“名刺代わり”となったプロ・デビュー戦では、その形でガムシャラにKOに持ち込みました。

プロ第2、第3戦では、離れて戦うアウトボクシングが課題となりました。そして今回のプロ第4戦を、西岡氏は「村田自身がファイター・タイプと位置づける自分のボクシングとプロとしての課題をどう融合させていくか・・・ですね」と話しました。

その意味では“合格”の試合だったでしょうね。やはり、試合ごとの進化、金メダリストの“学習能力”は並みではない! といったところなのでしょう。

村田の今後に関しては、世界挑戦を来年の秋ごろに置き、それに合わせて試合が組まれることになります。

村田の「義務」は、一戦一戦の成長に合わせて「遂行」が具体化されていきそうです。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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