難局を打破する「ヤバい」世代のノリ

ファスト・フードの店で、中学生くらいだろう少女たちが数人集まって、ペチャクチャとにぎやかにおしゃべりをしていました。

聞こえてくる言葉の中でやたら多いのが「ヤバい」でした。

面白いものです。この年代の少女たちは、こうした言葉を初めて覚えたかのように、何でもかんでもが、ヤバい! となってしまいます。

好みのタイプの男の子と目が合ってしまっては、ヤバっ、超ヤバい! 制服を脱いでちょっと派手目な私服に着替えれば、ヤバかったかな! といった具合です。

つまり、彼女たちのこの言葉の使い方は、何かとてつもないことをしでかしてしまったとき、とか、予想を超えて驚いたとき、などが、すべてヤバい! の状態となってしまうようです。

〈やばい〉危険であるの意の隠語(広辞苑)

「ヤバい」という言葉は、ちゃんと辞書にも載っており、日本語としては結構、昔の時代から使われていたとされています。

江戸時代の遊技場として矢を射る「矢場(やば)」があり、楊弓(ようきゅう=遊戯用の小弓)で矢を射る場、との本来の解釈とは別に、広辞苑には「(表面は楊弓店を営みながら矢取りの女に売春をさせていたことから)淫売屋」と記述されており、そこから「危険な状況」を意味する言葉として「ヤバい」が生まれた、とされています。

昔・危機感、今・快挙への驚き

確かに私たちの年代が少年時代、悪さが見つかったときなど「ヤベ~! 逃げろ」という使い方をして仲間ともども、危機感いっぱいに後ろも見ずに走ったことなどが思い出されます。

本来の意味を考えれば、中学生の女の子たちが、フツーの会話の中でポンポンと使うものではないですよ、と親が注意してもおかしくない事柄ですが、昨今の「若者言葉」としての使われ方は、凄いことをしてしまったときなど、快挙に対する自分の驚きを「ヤバい(ことをしてしまった)」と表現するのがフツーとなっており、その点、この言葉を解釈する“モノサシ”が大きく変化していることを感じます。

以前の話になりますが、驚きを表す「ヤバいっス!」がスポーツ紙の見出しにもなった出来事がありました。

プロゴルファーとして活躍する石川遼が、プロ入りする前の07年7月、杉並学院高1年の15歳時に「ポロゴルフジャパンジュニアクラシック茨城地区大会」(茨城・東筑波CC)で同CCのコースレコードとなる「62」(アウト34、イン28)を出したときのことです。

このとき、石川は、いまどきの高校生らしく「ヤベ~っス。やっちゃった」のノリでこの快挙を振り返ったのです。

この出来事に接して私は、こんな記述を思い出しました。

摂津茂和著「不滅のゴルフ名言集」に掲載されているものですが、英国のゴルフライターであるドナルド・スチール氏が1965年にこう書きました。

〈ゴルフは常に進歩している。100年後には昔、アーノルド・パーマーというプロが、わずか7000ヤードしかない短いコースで65もの多くのスコアを出した、といって皆が不思議がる日がくるかもしれない〉と-。

「ヤベえ」「ヤバいっス」を繰り返しながら、平成世代はあっさりと従来の習慣や記録など「既成」を平気な顔で塗り替えていくのでしょう。

惨敗を喫したサッカーの2014年W杯ブラジル大会の日本代表でしたが、あるいは4年後、あ~あ、やっちゃった! ヤベえ、ヤベえ、と言いながら、快挙へと突き進む日本代表「ヤベえ軍団」が日本中を沸かせているかもしれません。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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