まず「認知」されることの重要性

サッカーのW杯ブラジル大会で、日本代表の1次リーグ敗退が決まった6月24日(日本時間同25日朝)の対コロンビア戦でのことです。

1-4の惨敗となり、テレビの中継を通して観る側も深いため息に包まれた中、思わずグッと来るシーンが映し出されました。

試合後、日本代表の戦士たちが、それぞれに肩を落として放心状態となる中、ピッチにしゃがみ込んで動かないDF長友佑都(27)に近づいたのは、相手側コロンビアの選手でした。

長友の肩に手を置き、言葉をかけています。選手の確認は出来ませんでしたが、MFフレディ・グアリン(27)が、長友とともにイタリアのインテル・ミラノに所属しており、恐らくこの選手が、敵に回って敗者となったチーム・メートをいたわり、健闘を称えたのでしょう。

かけた言葉を想像すれば〈国のためにお互い、頑張ったよな。次は、お前の国の分まで戦ってやるよ〉・・・のようなものだったかもしれません。

サッカーの最高峰であるW杯の戦いは、国の威信を懸けた戦いですが、激しくぶつかり合う戦いの場で、こうした国別、人種別、を超えた「認知」-つまり、お互いを認め合うシーンに接すると、思わず胸を打たれてしまいます。

過去の話になりますが、MLBのイチローが、マリナーズ時代の04年10月、1920年にジョージ・シスラーがつくったシーズン257安打の大リーグ記録を更新する歴史的快挙を達成しました。

胸を打たれたイチローへの“お尻ポン”

スタンドの大歓声。チームメートの熱いねぎらい。一連の盛大な祝福シーンがあり、そんな中で思わず、ジ~ンと来てしまったのが、相手チーム(レンジャーズ)の選手による“お尻ポン”の祝福でした。

シスラーの記録に並ぶ初回の左前打で出塁したイチローのお尻を、一塁手のティシェイラがグラブでポンと叩きます。

進塁のたびに二塁手のE・ヤングが、三塁手のブラロックが、ポン、またポン、と同様の仕草を見せました。

このさりげない“お尻ポン”の意味を考えたとき、涙腺が緩みました。

自国ではない他国での快挙達成です。ただ技術が優れているだけでは成し遂げられないことでしょう。米国人から見れば“外国人が・・・”との感情も生まれるでしょうし、彼らの“お尻ポン”の動作に感じたことは、外国人選手のイチローを、この国に、MLBに、受け入れるという「認知」でした。

例えば1977年、女子プロゴルファーの樋口久子(現JLPGA相談役)が全米女子プロ選手権を制覇したとき、米国選手の悔しさでロッカーの扉がボコボコにされた、という逸話があります。

スポット参戦の樋口を、米国は“勇気あるゲスト”として迎え入れますが、メジャーのタイトルを奪われれば話は別です。

樋口の後を受けて米国常駐の形で米ツアーに参戦した岡本綾子は、もはやゲスト扱いではなく、戦いの相手となります。そこで欠かせないのは、どう仲間として認知されるか、でしょう。

つまり、米国選手のためにあるUSLPGAツアーで外国人選手が活躍しても、仲間として「頑張ったね」と認知されること、受け入れられること、が、まず最初に得られなければ、やっていけないということです。

JLPGAツアーが韓国人選手に席巻されたとき、私たち、日本人が持った感情を振り返れば、分かるでしょう。

敗戦の中、長友が受けた、敵側チーム・メートからの“お尻ポン”を、では本田圭佑(28=ACミラン)は受けるだろうか、ということを考えます。

本田という選手が、敵側から素直に“お尻ポン”をされるようになったとき、本田は誰もが認める、より強い選手に成長するような気がしますが・・・。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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