ボディー攻撃で悶絶敗戦・考

“メッカ”ラスベガス(米ネバダ州)のリングに登場したプロボクシングWBO世界バンタム級王者の亀田和毅(23)が、同王座2度目の防衛に成功しました。

7月12日(日本時間同13日)にMGMグランド・ガーデン・アリーナで行われたWBO世界バンタム級タイトルマッチ、同級1位の指名挑戦者プンルアン・ソーシンユー(26=タイ)を退けてのものです。

取材に当たったスポニチ本紙の担当記者は「(和毅の試合は)全9試合興行の4戦目、観客は数百人だったが、それでも熱心な本場のファンは、豪快なKO劇に歓声を響かせた」と、和毅の7回1分35秒、TKO勝利を伝えてきました。

勝負を決めたのは、左のボディー攻撃です。まず左アッパーを相手の顔に入れ、ガードが空いたボディーに左フックを叩き込んだものだったそうです。

和毅は試合後、このボディーへの一撃に対し「(急所の肝臓に)入ったな」とコメントしていますが、叩き込まれて崩れ落ち、悶絶のTKO負けを喫したプンルアンの苦しみは、リング上で起きたそうした情景を想像するだけで痛々しさを感じてしまいます。

評論家で国際マッチメーカーのジョー小泉氏が「ボクシングは科学だ」という画期的なタイトルの著書を出版したころは、まだ一般的にこの世界、ボクシングは根性だ! という風潮が多分にあったからかもしれません。

ボクシングは根性だ! の時代、ボディーで倒れるのは恥だ、という考えが一部に根強く残っていた、と言われます。

つまり、頭部や顔へのパンチなら、瞬間的に脳震盪(のうしんとう)を起こすなどして平衡感覚を失い、記憶も飛ぶから、倒れるのは仕方ない。が、腹部へのパンチは、頭がしっかりしている分、我慢の問題、持ちこたえる根性が問われるからだ、ということです。

とはいえ、そんなことを言われても、打ち込まれたほうは、たまったものではありません。

“恥”と言われてもこの痛みばかりは・・・

❶にみぞおち、❷に肝臓(右脇腹)、❸に膵(すい)臓(左脇腹)、と言われます。腹部の急所と打たれたときの「痛さの順番」です。

我慢だ! 根性だ! とハッパをかけられても、ここをピンポイントで打たれたときの苦痛は、何というか、もう筆舌に尽くしがたいものがあるそうです。

あるボクサーに聞いてみると-。

「もう、どうしようもない感じ、ですかねェ」

この状態を小泉氏に解説してもらうと-。

「鈍痛を伴う呼吸困難で酸欠状態となる。つまり悶絶ですかね」

ちなみに「悶絶」は〈もだえ苦しんで気絶すること〉=広辞苑=とありました。

今回の興行を主宰したプロモーターのオスカー・デラーホヤ氏(元世界6階級制覇王者)は、スポニチ本紙によると、和毅のボディーブローに対し「今まで見たボディーショットの中で最高レベルの一つだった」とコメントしていました。

あるいはデラホーヤ氏、あのときの痛みを腹部に感じていたのかしれません。そうです。04年9月、このMGMグランド・ガーデン・アリーナで行った4団体統一世界ミドル級タイトルマッチ、WBA・WBC・IBF王者バーナード・ホプキンス(米国)vsWBO王者オスカー・デラホーヤ(米国)の一戦です。

デラホーヤは9回、ホプキンスの陽動作戦にはまり、注意を上に向けさせられているときに下、右脇腹に左フックを叩き込まれ、1分38秒、悶絶のKO負けを喫しています。

ボディーへの攻撃が決まるのは、だいたい後半に入ってからですが、これはやはり、呼吸との関連性が強い、とのことです。

腹部は基本的に、息を吐くときに固くなり、息を吸うときに柔らかくなります。吸ったときにパンチをもらえば悶絶が待っていますが、後半戦は息も荒くなり、ともにそうした危険にさらされる状況が多くなります。

そういえばV2達成の和毅も、6回までは互角、ドローのジャッジだったそうです。後半戦に入った途端の“仕掛け”は、計算通り、というか、初の大舞台で結構、冷静に試合をしたのだなァ、という印象を受けました。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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