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“再起戦”を支えるものは?

あの日の“悪夢”から3カ月余が経ちました。プロボクシングの元2階級制覇王者・井岡一翔(25=井岡)です。

悔しさから立ち上がり、このほど再起戦が正式決定、9月16日に東京・後楽園ホールでWBA世界フライ級14位のバブロ・カリージョ(コロンビア)と同級ノンタイトル10回戦を行うことが発表されました。

今年5月、3階級制覇を懸けてIBF世界世界フライ級王者アムナット・ルエンロエン(タイ)に挑んだ井岡は、34歳の王者の巧みな駆け引きの前に終始、井岡らしからぬ単調な攻防を強いられ、1-2の判定負けを喫しました。

“サラブレッド”のプロ15戦目の初黒星。3階級制覇は、井岡の叔父にあたる元2階級制覇王者・井岡弘樹氏(初代井岡ジム会長)が果たせなかった夢であり、それを果たせなかった悔しさ。9月の再出発はもちろん、年内の世界挑戦をにらんだ世界前哨戦となります。

・・・ところでプロボクサーたちは、手痛い敗北を喫した後、再起戦にどう立ち向かうのでしょうか。

野球やサッカーなど、年間を通して○勝○敗のリーグ戦で争うジャンルと違い、ボクシングには、一つの敗戦がボクサー人生を左右してしまいかねない重さがのしかかります。負けた後の試合を再起戦と呼ぶところにそんな重々しさが感じられますが、それに立ち向かうボクサーたちにも、それぞれ、相応の思いがあるようです。

負けて見えた“求めるもの”

古い話になりますが、かつて日本ジュニアフェザー級(現・スーパーバンタム級)王者に天才肌の高橋ナオト(本名・高橋直人、アベジム=当時)がいました。

高橋は1990年(平2)2月、タイのノリ・ジョッキージムと戦い、実に6度のダウンを奪われて判定負けしてしまいます。

敗戦の翌日、1日に3度も同じ書店で同じ書物を買ってしまうほど、頭部に強いダメージを受けた敗戦。アベジムの阿部幸四郎会長(故人)は「呼び出しがかかるまでジムに来るな」と高橋を突き放してしまいます。

このときの高橋を取材したノートにこんなメモが残っています。

〈目いっぱい遊びまくったんですね。昼間はパチンコやったり、夜は友達とバカ言い合ったり・・・。減量の心配はないし、日々が楽だし、ホント、もうずっとこの解放感に浸り続けようかと思いましたね〉

揺れる心にクギを刺したのは、友人の〈お前、何やっているんだ。バカだな。こんな解放感なんて一時的なもの。充実した解放感は、厳しいボクシングをやっていて初めてる得られるものなんだぞ〉という叱責だったといいます。

こうして高橋は、再びジムに戻り、再起戦に立ち向かっていきました。

高橋がこうした試行錯誤の中から得たものは〈勝ち続けて戦いのど真ん中にいたときには見えなかったものが、その渦を外れて(戦況などが)見えるようになったことですね。負けなくちゃいけないのかもしれません〉でした。

井岡の再起戦が、どれだけ自身の幅を広げているかは、試合を見なくては分かりません。

が、あのときの1敗で何を考え、何に気付いたか、により、今後の道は、今まで以上に限りなく開けてくるような気がします。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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